グリーの目論見書 にいろいろと情報が公開されたので、当時のことを思い出してグリーへの投資の実際をまとめたいと思います。
当時、Apax Globis Japan Fund, L.P. の運用を担当していた若手?パートナーだった私はグリーという会社に出会った。 2004年11月 のある日。それは会社設立の前の段階だ。そして12月 に会社設立された。 ファイナンスに関して相談があったのは2005年2月のことだった。
具体的には話が進んだの4月くらいだったかと記憶しています。5月GW後に投資委員会があった。この様子は実はNHKのクローズアップ現代に特集さ れた。IT第三世代の特集だ。私も5分くらいテレビに出ている。 そのときグリーの田中さんとのミーティングの様子や投資委員会後(国際電話会議なので夜 中)に電話するシーンとかである。 懐かしい。
会員数の推移を見ていただくとわかるが、投資実行した2005年7月時点で会員数は20万人だった。 Mixi と比べると少ない。(現在は700万ユーザーを超える規模になった。)
業績の推移は以下の通りである。第一期 2005年6月期の売上高は22百万円程度。従業員数3名の段階。会員数も20万。 数多くのネットサービスがあったが、これくらいの数字の会社は多く存在したと思います。
業績の伸び は当初の事業計画を超えたものだ。 つまり、事業計画なんて信じて投資するというのはバカげた話だということを証明している。とはいっても投資委員会とい うものがあり、それを通過しないと投資はできない。 そのために鉛筆なめて、利益計画を作成をサポートしたのは私自身だった。
投資した時点から、年間の売上高成長率が10倍くらいの会社になった。 「倍々成長」という言葉があるば、「10倍成長」だ。
株式発行の推移を見ると第三者割当増資の推移がわかる。Apax Globis Japan Fund, LP が投資を実行したのは2005年7月。株価は88,000円だ。 金額は1億円。 1年後のKDDIさんが投資したときに約5倍の株価になった。
現在、Apax Globis Japan Fund LP は約10%の株式保有しており、IPO時点の時価総額は700-800億円くらいになるでしょう。 投資としては1億円の投資が3年6か月で70-80倍(70-80億円)になるという結果になりそうだ。
この投資は、世界的に見ても非常に素晴らしいベンチャーキャピタル投資になっている。間違いなく、ここ数年の中の記録としては突出したものになるだろう。
企業の成功・成長はあくまで社員の方やユーザーの支援、パートナーの支援など関係者の力があってできる。 非常に素晴らしいチームだ。
投資後 1年間はPC中心でそんなにユーザーが伸びるわけでもなく、売上も劇的に伸びたわけではなかった。 KDDIとの資本提携、モバイルシフトで大きく変わるわけです。
私の大きな仕事といえば、結局2005年7月に社員の3名の小さな会社に当時は8000株の会社に88,000円の株価をつけた、当時の発行済株数 ベースでPre-Money Valuation 約7億円で投資したということ。 だいたい同じような会社だったら、時価総額2-3億円が良いところでしょう。 そして、KDDI との資本提携、モバイルシフトまでの資金的な余裕 を提供したことだと思っています。 結局、先もまだ見えない会社、それも若い起業家とチームに対して 大きなリスクをとって、投資したということになります。
この投資の成功はベンチャーキャピタル業界にとっても大きなインパクトがあると思っています。
思いついたまま書きますと、
- VC Backed のIPO の中では近年にない大規模なIPOになること
- 大規模なIPOはバブル期ではなく、氷河期のときであり、そして業績と伴ったものであること
- VC Backed (VCが支援した会社)は日本でも多いが本格的なアーリーステージの投資であること。
- アリーステージ投資にかからず、3年6月後にIPOまで到達した圧倒的な成長
- 日本の従来の資本政策にありがちな、数多くのベンチャーキャピタルや金融機関が共同投資をしていない事例であること。シリコンバレーのベンチャーキャピタルのように1-2社の外部投資者しかいないこと。
- 結局 約5億円程度の資金調達でしたが、このような好業績の会社になったこと。つまり、シリコンバレーのベンチャー企業のように数十億集めている企業とは違うということ。Facebookとは違う。
- 私も含め、ベンチャーキャピタルの人間が社外取締役として参画していたこと。
特にシリコンバレーのように大きな資金を動かし、大きなビジネスをつくるということがインターネットの事業ではあった。日本のベンチャーキャピタル業界の現状ではシリコンバレーには勝てないというのが常識だった。
しかし、モバイルでは違う。間違いなく日本や中国などのアジアがリードする世界になる。 シリコンバレーのように潤沢な資金がなくても、最初に一億 円の投資があればグリーのような大きなビジネスを作る可能性があるということだ。 これは今後生まれる起業家に対する大きなメッセージだ。
グリーのような才能をもった若いチームはグリーだけでなく、もっと多く存在すると信じています。 そのような才能は日本にはあります。
私も独立してこれからが勝負。 頑張っていきたいと思います。 3-4年後には次のグリー?じゃないですが、そういう会社をつくる、支援するように頑張っていきたいです。これからもご支援ほどよろしくお願いします。
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