ICCのメディアは主にICCカンファレンスの書き起こし記事を配信しています。
取材した記事の配信や他のカンファレンスやイベントの記事は原則配信しておらず、ICCの活動に特化したメディアになっています。ICCのメディアの目的はICCカンファレンスで議論されている内容を多く人に共有し、より多くに人に役立ちたいという点とICCカンファレンスの認知度アップ(ブランディング)の2点です。
ビジネスの観点からは広告収入はメディアからありません。認知度アップによって参加者から参加費収入などが増加するかもしれない程度です。メディアからの直接的な収入がないため運営コストも最小限となっており、現在の編集部は私も含めて2名です。人月計算すると1人月です。
ブランディングという点を考えると他社のサイトに「記事広告」を出すより、自分たちのコンテンツで多く読まれた方がコスト的にもブランディング的に良いと考えています。記事広告だと1万PV保証で100万円のような価格ですが、月間で20万PVくらいにはなっているのでコストに対して効果の高い結果は実現できているのではないかと考えています。
さて、現在 ユーザー数も順調に成長しており、ICCのメディアの記事もどのようなコンテンツが読まれるのか?など蓄積されてきました。
ここ4ヶ月は右肩上がりで成長しているのですが、コンテンツのクオリティそのもの変わっていない(ICCカンファレンスのセッションの書き起こしであるため)のですが、コンテンツの出し方や見出しの作り方などいろいろ工夫したところ今の形に落ち着きました。まだ改善の余地があるため、工夫を重ねたい。
過去30日間でユーザー数は4倍になったのですが、大きく改善したところ・工夫したところを以下のポイントです。
1. 記事数を増やした
「朝ドラ」戦略と言っているのですが、朝ドラも今週は◯◯みたいなタイトルがあり、それが毎日放送される。週末にまとめて見ることもできる。タイトルには(NewsPicksのオリジナルコンテンツにある)【新】とか【最終回】のようにシリーズの最初と終わりがわかるようにしています。
動画で75分のものはテキストにすると1/3で読むことできるので読む時間はだいたい25分です。スライドが多い場合は情報量が多いめ、+10-15分くらいの変動があります。
5分割すると5分で読めるようになる。これを「時間のスライス」といっています。
NewsPicksとの相性がよいためNewsPicksのオリジナルコンテンツのような配信パターンを意識しています。
2. タイトルをメッセージ性の高いものした
記事を増やした結果、各パートでのメッセージが明確になりやすいという効果がありました。「ベンツを売って覚悟を決めた」のようにこの3〜5分間の記事の中でハイライトすべきポイントがあります。
ICCの場合はトップページから来る人はほとんどいないため、メッセージでどれだけ強いメッセージが出せるかが重要になります。
「釣り」のタイトルである必要はない。さらに「タイトル」ではなく、最近は「メッセージ」といっています。
3. 一発当たることを重視した
PVを狙っているわけではないのですが、より多く人に読んでほしいコンテンツだとと考えているため、「メッセージ」を重視したコンテンツを配信をしています。
「トップリーダーの行動・思考パターンは何が違うのか?」というセッションでは5本の記事でしたが2本ヒットしました。NewsPicksの100Pick以上になった記事はICCのメディアは「オススメ」に掲載されます。
以前はすべて読んでほしいと思って1セッションの記事を1本に記事に出すようなことをしていましたが、記事が長すぎて読まれないし、本末転倒の結果となりました。
5回シリーズで例えば4回目に「ヒット」とすると記事を読んだ10%程度の方は最初から読むようになります。すべての人にすべての記事を読んでもらう必要はなく、記事の存在を知っていただき、よかったら最初から読むみたいな習慣でよい という割り切った考え方をするようになりました。
4. 記事のクオリティを高めた
記事のクオリティとは何か?という点はいろいろ議論があると思いますが、ICCの場合は単に話したことを記事にするのではなく、例えば書籍を紹介するとか、補足する情報を掲載するとか、他のセッションでも同じような発言をしていた、Youtubeの動画を追加するなど「学習コンテンツ」になるように編集しています。
例えば5分にスライスされているので内容も薄くなりがちですが濃くするためには上記のようなコンテンツを追加することでクオリティを高めるような努力をしています。
5. 書き起こしのクオリティを高めた
ICCカンファレンスの記事は「書き起こし」です。記事の書き起こしはクラウドワーカー(クラウドワークス)さんと一緒に仕事をしています。
「書き起こし」のままだと日本語になっていない場合があり、読みにくいです。
これを校正したり、整文にするようなことが必要になってきます。
今年の2月からスタートしましたが本当に大変でした。こんなに大変だとは・・・というものでした。
そこで大きく変えたのは夏くらいからなのですが「書き起こし」をするのではなく、「日本語にする」というものです。マニュアルもしっかり作り、このような文章はこのように直す みたいな事例集を作りました。最近は新しくクラウドワーカーさんを募集しましたがトライアルで記事を書き起こしをしたときに8分程度のものを提出していただき、その原稿を僕が直して「こんな感じにしてほしい」ということを繰り返し行います。
結果として75分のセッションの書き起こしは提出された段階でまずは僕が最初にレビューするのですが、ほぼ完成されたものになっています。一部専門用語や聞き取らないところがあると修正するところがあるのですが、ほぼ完成形になります。時間にすると30-45分程度でできてしまいます。
わかったことしては単に低コストで書き起こしをしても記事にあるするために膨大な時間がかかる。最初からビジネスパーソンとしてスペックの高い人にお願いしたほうがよい。そのためにはしっかりとした料金を支払をするし、何よりも仕事にやりがいを感じて頂けるようにしています。
それはICCカンファレンスの記事は内容自体が面白い。音源は音だけではなくセッションの動画をベースに書き起こしをしています。動画はプロが撮影しているHDクオリティの動画であり、これは参加者限定に配信しているオンライン動画と同じものです。ICCのクラウドワーカーさんはドイツに住んでいる方など実際にICCカンファンレンスに参加することが難しい方ばかりですので、このようなオンライン動画を通じて「参加している」ことを感じて頂きたいと考えています。
単に「書き起こし」をする作業ではなく、登壇者が話していることをしっかり伝えたいと思っていただけるかどうか。本当に大切なことだと思います。そのアウトプットは本当に役立つものであると考えています。
ICCの記事は編集チームにクラウドワーカーさんの名前も掲載されています。同じチームであり、記事の作成や配信に関係しているメンバーは名前がでています(4名程度)。
以上が工夫している点です。
ICCのメディアの大前提としては登壇者が約180名もいるようなカンファンレンスですので75分のセッション数は特別番組も含めると半年で50-60シリーズの記事を配信することが可能だという点です。定期的に配信するコンテンツとがないとメディアとして成立しないのです。
ICCカンファレンスのブランディングを考えると「クオリティの高さ」をどのように伝えるか?という点が重要であり、上記のようなクオリティを高めるための工夫をすることや認知をいかに高めるか?の取り組みをしています。
今後の取り組みとしては過去に配信した記事で良い内容であるのに「読まれていない」記事が大量にあります。「リメイク」というのか「リベンジ」のコンテンツを投入します。例えば「トップリーダーのメッセージ」のような素晴らしい発言だけをまとめたような記事を配信したいと考えています。
素晴らしいメッセージはいろいろなセッションに存在します。それを「連載」コンテンツとして出せるような編集をする。今後も引き続き改善を重ねてやっていきたいです。
そもそもICCカンファレンスの企画はどのように考えるのか?は別の機会に。
(続)