私の考える資本政策の考え方をまとめてみます。
①アーリーステージ、デベロップメントステージの場合
アーリーステージ(会社立ち上げ初期)の企業は、まだまだ戦略の方向性や組織といったところが固まっていないのが特徴です。 不確実性の高く、先がまだ見えていないというステージの資本政策として重要なことは、
・信頼関係を構築できるリードVC 1社に絞ること。
・事業会社との資本関係をもたず、独立系であること。
だと考えています。 戦略の方向性が見えない段階で、複数のVCがいることによって、意見が割れたり、不毛な議論に陥りがちです。また、リードVC一社にしても、そのVCとの信頼関係がない場合も、いろいろと大変です。 戦略や経営の理解のあるVCを選ぶことが極めて重要です。 アーリステージの場合は、とくにかく売上を上げるという点を重視するあまり、幅広く株主がいたほうが何かと役に立つことだろうと考えるのですが、結果がでることは少ないと思います。
また、独立系ということは重要です。会社が成長するにつれて、提携先も大きな会社となってきます。最初に大したことのない会社と資本提携でもすると、本当に提携したい相手と提携できないという場合があり、戦略の自由度を狭める結果となります。
シリコンバレーのアーリー、デベロップメントステージの資金調達は、独立系ハンズオン型VCが1~3社程度なのは、上記の理由からです。
②レイターステージの場合
①と反対で、戦略のフォーカスが明確になり、さらなる成長を考える段階であるため、
既に実績のある事業パートナーとの関係の強化を重視することや、中長期的に保有するVCといったところが候補になります。
重要なポイントとしては、
既に実績のあるパートーとの資本提携はGOOD
既に取引実績のあるパートナーとの関係を強化する資本提携ならばよいが、今後新しく関係をつくるために株主になっていただくのは危険です。株主になって頂いたが、実は駄目だったというケースも多いのです。未公開会社の場合、株主の移動は難しく、移動する労力も大変なことです。 プラスと思ったら、マイナスだったというケースは少なくありません。
支配欲のある会社は気をつける
株主には2つのタイプがあります。支配欲がある株主とそうでない株主です。後者の支配欲のない株主というのは、事業上の関係を重視するという意味です。 前者は会社自体を支配しようとする考え方です。 子会社化したいとか、戦略のコントロールしたいといったことをさします。
子会社になりたいとか、傘下に入るといったことであれば良いですが、独立経営を考えるならば、支配欲がある株主は危険です。
安定株主を見極める。分散は悪。
よく安定株主つくりということで、事業会社をメインに考えるケースが多くあります。逆にVCは流動性が高いということで敬遠されます。 誤解があるのはVCといっても公開したらすぐに売却する会社 と 中長期的に保有する会社にわかれます。弊社は後者のタイプであり、ブロックトレードを活用し、相場を崩さない形で半年に一回 売却していく というような方法です。 タイプによって見極める必要があります。
また、変に安定されても困るケースがあります。 IPO後の方が戦略の自由度の広がり、様々な提携機会が増加します。 そのときに安定株主だらけだと、資本提携するにしても株式が出てこないということもあります。 弊社の場合は大株主になるため、公開後にその株式を事業パートナーにブロックトレードするケースもあり、IPO前に無理やり安定株主を作るより、タイミングをコントロールできる大口の投資家と良好の関係を気づくほうがメリットが大きいのではないかと思います。
戦略の自由度を考えると、IPO前に無理に安定株主を作るために、事業会社等に株主になっていただくのではなく、 事業強化に活用できる株式数をコントロールするために、10から20%シェアを持つVC株主も重要な役割を果たすと考えています。
上記のようにステージごとに考え方が変わります。資本政策は様々な考え方があります。
私の経験してきて、いろいろと考えることがあり、まとめてみました。