よく聞かれる質問としては、ベンチャーキャピタリストの人事評価に関してがあります。具体的にどのように評価し、給料をどう決めるのか? というのは外部の方から知りたいと思う点でしょう。
弊社の場合のお話はできませんが、私なりの考え方を書きたいと思います(会社の方針とは必ずしも一致していないので、個人的な見解です)
VCの仕事の特徴は
①成功するまで時間がかかる(3~5年)。失敗は先にでる(悪い投資先ほど早くつまづく)。ポートフォリオを組み、リスクをコントロールする。
②ハイリスク・ハイリターン
③経営者とのイコール・パートナーシップ
だと思います。 ①と②の考え方をもとにすると、短期的な成果ではなく、中長期的な成功とリンクした成功報酬型の給与体系(一般的にはキャリーという成功報酬があります)がマッチします。それもハイリターン(一攫千金)となるような体系です。
私は、日々の給料は低くかつ固定のサラリーでよいのだという考え方をしています。理由は単純で、中長期的な成功を考えるわけであり、短期的な給与の変動は雑念を生み出すだけだからです。 それも「低く」抑えることがポイントだと考えています。理由はハングリー精神です。 ③の経営者とのイコールパートナーシップと通じますが、ベンチャー企業の経営者も必ずしも給与水準は高いわけではありません。成功した場合の株式売却益があるからこそ、低く抑え、がむしゃらに頑張るわけです。
数年間、投資先の経営者と働いていると実感するのですが、業績が伴わないのに、給料を上げたいとか、いろいろな場面に直面します。自分(社長)の給与の設定の仕方で、経営者としての資質がわかります。 この点が甘い経営者は経営判断も甘い。
ベンチャーキャピタリストは経営者と成功(と失敗)を共有する仕事です。 イコール・パートナーシップとはどういうことか? という点を理解する必要があります。 雑念を忘れ、投資先の中長期的な成長をともに考え、喜ぶ姿勢が重要です。自分に対する甘さは敵です。
VCの「報酬」とは労働時間ではなく、リスクに対する成果に対して支払れるもの。それも金銭だけではなく、投資先で働く人の成長、製品・サービスの浸透、といった様々な喜びがあります。 無心で喜びを感じることができることとこそ、真の「報酬」であると感じています。