別に暇ではないのですが、AQインタラクティブやウェブドゥジャパンの2社以外にもPre-IPO投資の事例を調べてみようと思っていたところ、また発見しました。 昨年 2006年10月31日にIPOしたネクスト社です。 なお、 ウェブドゥジャパンさんもネクストさんもNILSに参加したりして、個人的に大変お世話になっており、他意はありませんし、3社とも業績順調ですし、会社は素晴らしい!と思っています。
また、ジャフコさんなど同業他社の社名が出てきますが、批判しているわけでもなく、目論見書などからわかる事実をまとめ、自分自身 次に活かしたいと思います。
1 はじめに - IPOのプライシングと現在の株価推移
公募価格 の株価は22万円(仮条件は20-22万円) です。
新興市場は株価は乱高下しますが現在 30万円前後のところで落ちついているように思います。
2 目論見書に見るとPre-IPO前の株式譲渡 - 譲渡価格は1株40万円
目論見書を見ると、株式譲渡や第三者割当増資などの経緯がわかります。
2006年6月28日に まぐクリック社から、ジャフコの運営するファンド と GMOベンチャーパートナーズさん運用のファンドの2グループに一株40万円で譲渡が行われています。GMOベンチャーパートナーズさんは投資金額合計2000万円と大きくはありませんが、ジャフコさんは合計2.7億円程度 株式譲渡を取得しています。
日付が6月28日になっているがポイントだと思っています。 2006年3月期の定時株主総会は6月26日に開催されていることが目論見書からわかります。IPOを申請する場合、申請期には株式の譲渡制限を外す必要があるため、6月26日の定時株主総会をもって譲渡制限が外れています。( 東証の株券上場審査基準においては、株式の譲渡制限を行っていないことが上場審査基準の要件の一つとして定められております。)
譲渡制限がある場合は株式譲渡は取締役会決議となるため、譲渡を拒否することが可能です。一方、譲渡制限がない会社は、公開企業同様株式の取引可能です。 取引可能な段階で、まぐクリック社がジャフコさんなどに「ブロックトレード」を行ったのではないでしょうか(推測)。 (相対取引のため、ネクスト社は関係ありません)
株式譲渡後 4ヶ月後の10月31日の公募価格は22万円。初値は298,000円です。
IPO後 40万円を超えた株価はちょっとあるくらいです。
また、譲渡を引き受けた2グループは上場日から180日間(2007年4月28日まで)のロックアップ(株式売却の制限)がかかっています。
3 新株予約権の発行 - IPO前の株式譲渡と同じ時期だか株価はマーケットプライス
実は開示資料から2006年6月30日に新株予約権が発行されていることがわかります。
価格の決め方は、IPO時の公募価格 と同じという決め方です。つまり、22万円です
この新株予約権は従業員向けのもので、マーケットプライスに基づくフェアな考え方
だと思います。 同じ時期に行われた新規発行かつ価格調整が可能な新株予約権(22万円) と 普通株式の株式譲渡(40万円)との違いが明確に出ました。
4 コメントなど
ネクスト社のケースは、2006年6月28日の株式譲渡、そして2006年10月31日に上場といったわずか4ヶ月間の出来事です。
また小額ですが株式譲渡を引き受けたGMOベンチャーパートナーズさんのブログでネクスト社の上場に関して、「ブログビジネスファンド出資先初の上場となった。ファンドの募集終了から5ヶ月での上場は、最速記録の部類に属する。」とありました。
株式投資に関しては上がることもあるし、下がることもあります。 また儲かるか儲からないかは別にして投資先が上場することは嬉しい出来事だと思います。私もNILSに参加している企業が成長し、IPOするのは大変嬉しいです。
今回のケースでは同業他社のケースではありますが、弊社としても十分にあり得る話です。今のところ、公募価格より高い株価で投資したケースは弊社ではありませんが、公開後に株価低迷したり、次の増資の際に株価が下がるダウンラウンドのケースはあります。弊社の投資先でも何社か上場し、まだ全株売却していない投資先があり、株価が低迷しているケースもあります。
このようなことをは他社のことと考えず、自分だったらどうすべきか?とか、いろいろ
考えることが重要です。 いろいろお目論見書を分析し、考えることは良い勉強になります。