ブログのアクセスを見ていたところ5月1日のトリフィックが増えていてなんでだろう?と思ったら、磯崎さんが「日本で優先株ベンチャー投資がメジャーになる日」で私のブログを引用していました。最近、トラックバックスパムが多くて、トラックバックのURLの公開をやめてしましたが、引用を発見するとうれしいものです。
「米国のように、まわりが全部優先株で投資しているような環境では、普通株で投資したらGPはファンドの出資者から善管注意義務が問われることにな るだろうけど、日本のようにほとんど普通株式で投資されている場合には、優先株式で投資しなくても善管注意義務に問われることはまずないだろう。ただし、 今後、優先株式での投資が増えてきた場合にどうかといわれると話は変わってくる可能性がある。」
とのこと。「みんなで渡れば怖くない」わけですね。
(または、一種の「ネットワーク外部性」が働くお話かと思います。)
私の印象としては、優先株式や他の有利な条項をつけて投資できる環境にもかかわらず、それをしていないという状況ではないかと感じています。 ただ、GPの善管注意義務とありますが、日本の場合は多くのGPは個人ではなく、会社であるため、投資担当者の訴訟などに対するリストはほとんどないと考えてよいかと思います。
逆に、ファンドの出資者に海外の投資家が多い場合には、(現状では、「日本はそういう慣習なんです。」「優先株にこだわると、いい案件を逃す可能性 もあるんです。」といった説明は不可能ではないと思いますが、そうはいっても)、「ナゼ、preferred stockデ投資シナイノデスカ?」と聞かれたときに、説明としては大変メンドクサそうであります。
つまり、日本のベンチャーに投資したい外国の資金がどどっと日本に流れ込むと、日本の優先株投資は(ある一定の閾値を超えると)、急速に進む可能性がある。(理屈としては。)
われわれのファンドは80-90%は海外の投資家になりますが、実は個別の案件では「ナゼ、preferred stockデ投資シナイノデスカ?」ということを質問されることはないです。 どんな会社に投資したか?とか、投資先は順調かどうかといった事業面の質問がほとんどです。
海外の投資家が増える条件としては、優先株式というよりかは、 そもそもファンドの税制の問題上、ケイマンなどの海外籍のファンドであるとか、英語でIRがしっかりできるかとか、ファンド自体の体制不備が大きいように思います。 また、投資方針として、小額を分散投資しているファンドに投資することはリスクとリターンの面が悪く、ヘッジファンドやREITといったところに投資したほうがよいという話になります。
優先株式の少なさは現象としてありますが、 小額の投資で手間をかけることができないとか、リターンに対する競争原理があまりはたらかない といった事象が変わっていくと、自然と優先株式の投資が増えていくように思います。