日経新聞記事:VC、新規公開減で正念場 - 数で稼ぐ手法に限界 問われる発掘力と選別投資
というタイトルの日経新聞の記事が掲載されていた。 グロービス・キャピタル・パートナーズは良い事例のほうに出ていて、グリーで100億円の投資収益(投資した金額は1億円。100倍)を得たといった内容がでています。
記事の内容で面白いのが、投資手法が「日本独自の手法」であり、複数のVCと「協調投資」を「少額」で利益を稼ぐ手法 という解説だ。 そして最後に「ベンチャー企業を財務と経営の両面から支援してこそ新産業の育成の担い手といえる」とある。
記事の内容的には、目新しいことをいっているわけでもなく、1年に一回くらいは同じような記事がある。 ライフネット生命の岩瀬さんが 生命保険業界が以前からほとんど変わらないとブログで書いているように日本のベンチャーキャピタル業界も同じような感じでかわっていない。
最近、海外の投資家の方とお話する機会が多いのですが感じることは、 日本のベンチャーキャピアル業界の方向性としては、 「Fund of Funds 化」ではないかと思っています。
ビジネスモデルはシンプルにアーリーステージに投資するのは弊社のような独立系のVCファンドにいくつか出資する。バイオ系とかモバイル系とか組み合わせればよい。そしてレイターステージ(取引先)への直接投資である。
発掘力・支援といった苦手のところを無理やり強化するのではなく、一回起業して成功した方といっしょにVCファンドを組成するとか、 「Fund of Funds 化」 がよいと考えています。 VCファンドの「選別投資」である。
例えば、NOKIA の投資部門のNokia Growth Partners という100%子会社はまさにレイターステージの戦略投資は自社で行い、アーリーステージはBlueRun Ventures など複数のVCファンドに出資している。 もともとBlurRun Ventures はNokia Ventures といってNokia のVCだったか、独立したVCとなっている。
なんだ事業会社じゃないかと思うかもしれませんが、 実際に海外のファンドに投資する投資家に会いますが、 自社でベンチャー投資をやっているところなんなありません。 銀行にしても保険会社にしてもそうだ。
VCファンドやPEファンドの出資を管理するほうが、個別のベンチャー企業を管理するより効率がよい。もちろんファンドの運営費など支払う必要があるが、それでも効率がよい。投資ファンドも悪ければ、次のファンドに出資しなければよいし、時代の流れによって、「環境」とか「インフラ」とかファンドを加えていけばよい。
独立系のFund of Funds の会社がアジアにもいくつかあり、ファンド規模は800億円とか1000億円とかがある。 このファンドサイズはジャフコさんが運営しているサイズと変わらない。 例えば1000億円のFund of Funds は何名いるのか?という点だと、バックオフィスのスタッフを入れても20名程度である。マネージングパートナー4名だ。 10名程度アジア全域をカバーし、トップのファンドをスクリーンングして、投資していく。そしてモニタリングするのである。
一方、ジャフコの組織規模は数百人規模。投資スタッフで日本だけで100名を超える。
現実的に日本の大手銀行などいろいろとあるが、10社あるとすると、1社が10億円を10個のファンドに投資すると、1あたり100億円のファンドが10個誕生する。
このような業界構造の転換が重要な時期だと思います。 海外では普通に分業体制になっているし、 なんで垂直統合型で自社でVC部門をもつのが疑問が多い。 Fund of Funds をやっているほうが、儲かるように思います。