最近は日々思ったことなどをFacebookのノートに書いている(友達のみ公開)のですがいくつかはブログにも公開していこうと想います。
今回はベンチャーキャピタリストとして投資先に対して投資後にすることをまとめてみたいと思います。投資のステージにもよるのですが、我々のような1~5億円の投資を行っていくタイプのVCファンドでは投資後、正確には投資前から取り組むべくき重要なことがあります。 それは人材の採用です。特に幹部などのコアな人材の採用です。
例えば3億円の資金調達をしたベンチャー企業が成長するには3億円を上手に使う経営体制が必要です。人材採用が遅れに遅れキャッシュポジションが1億円を切った段階などどんどん採用する側も厳しくなるし、入社する側もこの会社は大丈夫か?と思ったりするようになるわけですから、投資後すぐのタイミングが一番のチャンスということになります。
ベンチャーキャピタリストとして重要な役割は、ネットワークから良い人材を引っ張ってくるということが理想的ではありますが、必ずしもできるわけでありません。採用プロセスに置いて発掘、評価、説得 という3つのプロセスがあるとラッセルレイノルズの方が言っていたのですが、ベンチャーキャピタリストとして重要なのは「評価」であり、「説得」であるという点です。特に若手の起業家が増えてくる場合、経験豊富なベンチャーキャピタリストの提供できる価値は、この人材は一流かどうか?など業界全体から見た視点です。評価に加え、さらに重要なのは「説得」です。優秀な人材はどんな人が見ても優秀なので、いかにその人を説得するか?という点のほうが大きいのです。
この説得においては、過去の実績はもちろんですが、経営者やベンチャーキャピタリストの人間的な魅力がとても大切になります。この人たちならいっしょにやってみよう!と思っていただけるかどうかがとても大切になります。
上記は一般的に言えることですが、人によってやり方が異なります。
私の場合はどういうことをするのか?という点をまとめてみました。 実際にもうすぐ投資する会社があるのですが実際にこんなことをする、こんなことをしているという点を書いてみます。
1. 投資先の経営者と優れた人材の会う機会を創る
優れた人材を採用するのはとても難しいのですが、まず優れた人材がどんな人材か?ということを経営者自ら理解する必要があります。そしてどんなモチベーションで働いているのか?などなどを理解することや、優れた人材がいかに自分といっしょに働きたいと思うか?といった魅力の部分で現状を理解する必要があります。
このような機会をつくることはベンチャーキャピタリストとして重要な役割となります。なぜ、ベンチャーキャピタリストがそのような機会を作れるのか? それは情報やネットワークのハブである(そうでないとダメ)とか、人間的な魅力がないとなかなかそんな機会は創れない。そのために日々努力するのです。
2. ベンチャーキャピタリスト自ら 広告塔となる。
ベンチャーキャピタリストはよく「黒子」と言われるのですが、私は自分のことを「黒子」とは思わず、自らの広告塔としての価値を最大化するようにしています。2005年・2006年のグリーのときの事例がよいのですが、あらゆるカンファレンスのスピーカーとか、メディアのインタビューでグリーのことを触れています。メディアに出る回数もかなり多かったのですが、それは広告塔になるためです。ユーザーの獲得のためではありません。ネットの世界ではかならず検索するわけで、グリーについて調べている人は当時だと私のインタビューの記事とか読んでいたはずです。経営者のインタビューだけでなく、私のようなインタビュー記事は効果的であったと思っています。
これからカンファレンスのスピーカーは既に何件が決まっているのですが、必ずどんなところに投資しているのか?といったことを話す機会があり、その投資先のストーリーを語るのです。それはどんなサービスか?といったものではなく、どんな経営者がどんな想いでやっているかなど、ストーリーテリングをしっかり行うことです。メディアを通じて投資先の魅力をつたえるのです。 メディアリレーションのインタビュートレーニングを受けた経験が生きるのです。(外見、服装、話し方など極めて重要になります)
10月から12月くらいまでかなり上記のようなことをやっていこうと思っています。広告塔になることができるのは私自らメインで担当していう案件で、かつ株式の持分なども多く、大きな責任がある場合です。(そうではないと、話の重みがない)
投資先の未来は明るい!と思っていただける(実際に私もそう思っている)ことは大きな武器となります。
3 採用の重要な局面で面談に参加する。
2に大きく関係しますが、やはり最終的に重要な面談のときにしっかり投資先について語ることができるかがとても重要です。 なぜ投資したのか? 今後この会社がどうなると思っているのか? など直接伝えることがとても大切です。 最終的な採用するしないは経営者の判断に任せるのですが、採用できるかどうかの局面においては極めて重要な役割だと思っています。
採用に関しては過去の経験・実績が大きく生きてきます。逆に生かせないと意味がないわけですから、しっかりとやっていきたいと思っています。