今回はICCカンファレンスの作り方についてまとめてみました。
カンファレンス(コミュニティ)作りは中長期の計画・準備がすべて
カンファレンス(コミュニティ)の企画においてもっとも重要なのは中長期的なコミットメントです。会場の手配などは先行して行うためリスクが伴うものですが、ICCカンファレンスの場合は開催実績がまったくないにも関わらず既に2017年2月までの3回分の大きなカンファレンスの会場の手配はすべて完了しております。さらには2017年9月、2018年2月など同じ日程を同じ会場でブロックしており、数年にわたって開催することをコミットしています。私の場合は3年間の会場を確保することが基本的な考え方です。仮に開催場所の変更をする場合は2年前くらいに検討を開始し、下見を重ねて1年半前に判断する。
コミットメントというのは単に手配すれば良いというものではなく、計画的に進めることが重要である。カンファレンス(コミュニティ)作りは「計画・準備がすべて」であると私は考えています。
これはラグビーワールドカップの日本代表のチーム強化は4年かけて計画的に行ったのと同じような考え方です。どのような目標を達成したいのか?などしっかり考え、計画を立てていく。
第一回目のICCカンファレンスは2016年3月24日 東京大学本郷キャンパスで開催します。実は開催日程や場所は「第一回目」から決定したのではなく、「第二回目」の会場から選定しました。2015年10月に独立したこともあり、いろいろ考えているとやりたいことが見えてきました。それがICCカンファレンスです。第二回目の開催は2016年9月 京都で3日間の開催となります。
3日間も会場を貸し切るというのは実は難しく準備してから1年後というのが計画の基本となります。ベストのスケジュールはどこか?など考え、場所もベストのところを選定します。経営者・幹部向けのICCカンファレンスに加え、さらに2日間京都大学のカンファレンス・ホールにおいて技術シーズの事業化するためのコミュニティ作りを目指すカンファレンスも開催します。トータル5日間のプログラムです。ICCカンファレンスの併設カンファレンスとしてIoT/ハードウエアに特化したカンファレンスもパートナー企業と共同開催する予定です。
ICCカンファレンスは年2回のベースでの開催を予定しており、2016年9月に開催することから半年前の2016年3月にキックオフのような第一回のICCカンファレンスの開催を検討しました。オフサイトでのカンファレンスの開催は準備スケジュールを考える難しいため東京で1日で開催することにしました。渋谷や六本木ではなく、東京大学の本郷キャンパスのカンファレンスホールにしたのは東京でも静かな場所でオフサイトのようなカンファレンスを開催したい。雰囲気も真剣に議論するようなアカデミックな雰囲気で開催したいという想いからです。
3月24日に第一回を開催するのですが登壇者の方にいきなり登壇いただくのもどうか・・・と想い、登壇者を中心にキックオフイベントを開催することにしました。「ICCコネクション」というイベントを2月17日に開催することになりました。カジュアルなセッションとパーティを組み合わせたイベントです。
このように来年9月の開催場所を決め、手配をしてから3月24日の1日のカンファレンスや2月17日のキックオフイベントの開催が決定しました。2016年9月まで決定したので次は2017年2月開催の計画を開始しました。 福岡開催となりメイン会場からパーティ会場まで入念に下見を行い、決定しました。
これだけ時間的に余裕がある計画をすると2016年9月京都と2017年2月福岡のパーティ会場となるレストランなどの選定は私から見てベストの内容になっており、非常に素晴らしい体験を約束できる自信作です。主催者が自信をもって開催できることはとても重要だと考えています。
計画してから1ヶ月程度でICCカンファレンスの骨格は具体化しました。
会場・運営を深く理解してこそ初めて良い企画が生まれる
中長期の計画を考えながら、企画をスタートします。カンファレンス会場の特徴を理解することで「制約条件」を理解することにつながります。最大収容人数は何人か? 控室には何部屋あるのか?などです。
ICCカンファレンスのコンセプトは「産業を共に創る経営者・幹部の集まる場」です。「共に創る」というのは登壇者・参加同士が議論し、お互いの知見を学ぶことことが重要であるという考えにいたりました。コンセプトを実現するには宴会場・会議室を最大限に活用したセッション数・登壇者数を実現することです。単に有名な経営者の話を聞くようなスタイルではなく、80〜100名近い経営者が登壇する参加型のカンファレンスです。これがICCカンファレンスが目指す姿です。
第一回となる3月24日のICCカンファレンスのプログラムを見るとわかりますが会場を最大限に活用した4会場同時開催となります。登壇者数も80名近くになります。会場となるホールを通常利用する場合はほとんどのケースはメイン会場のホール(400名程度)だけを利用する企画をします。
手配の段階から入念に下見をすることでこの会議室ではこのような企画ができるなど検討することによって最大4会場同時開催のプログラムの企画となりました。カンファレンスは聴衆が多いほうが大きなイベントで良いというイメージがありますが、30名程度の少数で深く議論するフォーマットも学びが深いものになります。この会議室ではこのフォーマットが適しているということを考え、プログラムを考えます。
「会場の声を聞け」 これは建築家の隈研吾さんが「敷地の声を聞け」ということを言っていたのですが同じことがカンファレンスにおいて言えます。
運営方法もしっかり考えます。4会場同時開催となると同じ時間帯にスピーカーが20名以上になります。20名以上が打ち合わせができる会議室を手配する必要があります。その控室をどこにするか?など細かいところ考えていきます。誘導に必要な人数は何名かなども詳細に決定します。
3月24日の開催ではありますが、何時にコーヒーを何人分をどこに用意するか? マイクの本数は何本追加で手配が必要か?など検討しました。3ヶ月前には会場の担当者と議論すべきことは終わっています。このような状態になって初めて良い企画・プログラムができるようになる。
複雑に見える企画をシンプルに運営すること。細部まで考え抜かないとなかなかできるものではありません。現場に何回も足を運び、シミュレーションすることで答えは必ず見つまります。難問にも必ず答えがある。下町ロケットのモノ作りとカンファレンスの運営も同じことなのです。
優れた企画(プログラム)を実現するには優れたチーム作りが必須である
ICCカンファレンスのチームの作り方に関してはこちらのブログに書いておりますので一読いただければ。
やはり僕がいろいろと考えた企画やプログラムを実現するにはそれを実現するチームが必要になります。例えば4会場同時に開催するプログラムは実は過去に開催したことがありません。初めてのチャレンジです。ICCカンファレンスの根幹となるコンセプトとなるため、その運営方法をゼロベースで考える必要があります。机上の空論にならないようなチーム作りが不可欠です。
開催3ヶ月前に具体的にどうように運営をするのか理解していれば運営チームの採用方法も変わります。どんな人材が必要か?などがわかるためです。
ほとんどのイベントの場合は当日の運営のことは最後のほうに考えます。そのため最後の最後に集客しないといけないとか、準備しないといけないとか、いろいろな業務が重なり、瀕死の状態になるというんがイベント運営の一般的な姿ではないでしょうか。
私の場合は最初から詳細に運営方法を考えてから企画を考えるため無理な企画はないですし、制約条件を理解して企画するようになる。質の高い運営をするには準備がすべてなのですが心の余裕をもった運営がもっとも重要です。 運営チームをしっかり作りこむことが重要になります。
また、ホテルなどの会場の担当者の方との信頼関係も重要です。私の場合はホテルの担当者の方もレストランの担当者の方も直接対話することが重要です。運営はイベント運営会社がマネジメントするというのが一般的なのかもしれませんが、なぜ開催するのか?など想いを伝えたり、食事はどうあるべきか? それはなぜか?といった考え方を共有します。
コミュニティ(つながり)を作ることが重要
「コミュニティ・デザイン」とは何か?という点ですがカンファレンスといってもいろいろなコミュニティがあるということです。2016年2月17日開催予定の「ICCコネクション」というのは主に登壇者を対象とした「コネクション(つながり)」を重視したイベントです。 3月24日の第一回も含め、これからICCカンファレンスを「共に創る」仲間なのです。2月17日は「仲間」とともに開催できる喜びを分かち合いたいと思っていますし、感謝の言葉を直接お伝えしたいと思っています。主に登壇者が揃うパーティですから価値のあるパーティであることは間違いありません。多忙な経営者の方にとってはこのような簡単に誰でも会えるような機会は貴重です。
このような「つながり」をしっかり積み重ねていくことがコミュニティになっていく。仲間意識を持つようになります。 「共に創る」ことを実際に体感し、楽しいこと・わかわくすることがとても大切です。
運営チームのコミュニティも同様です。スタッフのキックオフパーティは2月17日の1週間前の2月10日開催します。場所の東京大学本郷キャンパスです。3月24日の下見を兼ねて会場と同じ場所を利用する。2月10日にキックオフパーティを行い、2月17日のICCコネクションの運営をする。そして第一回のICCカンファレンスとなります。 段階的に行うことでスタッフ同士の「つながり」は深くなります。 その「つながり」の強さが良いカンファレンス運営に繋がるのです。
ブランドを創る
いろいろと書いておりますがそれぞれの活動が「ブランドを創る」ことにつながります。ブランディングの考え方を深く理解することでそれぞれの活動がどのような意味があるのか理解するようになります。現在、ICCカンファレンスのロゴも含めたクリエイティブを検討しており、どのようにメッセージを伝えていくか など検討します。 カンファレンス(コミュニティ)は参加者は仲間であり、仲間との「つながり」が大切です。共に創るような「ブランド」を創る。 単にイベントと考え、1回参加して「良かった」「悪かった」という関係ではなく、中長期に共に成長することがあるべき姿です。
(続く)
最後までお読みいただきありがとうございます。次回はプログラムの作り方など応用編をまとめてみたいと思います。ICCカンファレンスでは運営チームメンバーを募集しております! こちらの応募フォームからぜひ応募いただければ。