朝起きてから「悲しい出来事」というブログを書きました。
2016年12月7日の午前に開催されていたインフィニティ・ベンチャーズ・サミット(IVS)のピッチ・コンテスト「Launch Pad」の映像を見ていたときに耳疑うような発言をされていました。とても悲しい気持ちとなり、ICCの活動を支援する皆様に本当に申し訳ない気持ちとなりました。正直な気落ちを「悲しい出来事」にまとめました。
ブログでの反響は大きく、いろいろな方から激励の言葉を頂きました。本当にありがとうございます。
夕方となり、「新しい決意」が生まれてきました。それはICCカンファレンスを登壇者、参加者、スポンサースタッフ、そして書き起こしの記事を通じて「参加」している読者の方が誇りに思っていただけるようなコミュニティを創るということです。
これはICCの「共に産業を創る」というCo-Creationの精神を改めて強く想いを持ちました。
IVSのLaunch Padの思い出
インフィニティ・ベンチャーズ・サミット(IVS)は現在は日本を代表するベンチャー企業の経営者が集まる最大のカンファレンスです。2004年11月前身となるNILS(New Industry Leaders Summit)がスタートしました。
この時は参加者は100名未満のとても小さな規模でした。最初は本当に大変でした。私はカンファレンスの企画・運営経験のないまま企画メンバーの一人として参加しました。当時 僕は29歳くらいでした。
第一線で活躍する経営者・幹部の方が集まる場はとても刺激的な場でした。こんな素晴らしい機会はないとし、学ぶことばかりの環境でした。グリーの田中良和さんとも出会い、それからグリーへの投資に繋がりました。
カンファレンスというの長く続けることは大変難しいものです。費用もかかります。参加費をどのように設定したらよいのか? スポンサーをどのように集めたらよいのか? プログラムの企画はどのようにしたらよいのか? など本当にわからないことだらけでした。
請求書を郵送したり、いろいろなことをしてきました。 ベンチャー企業の発表の場があったらよいと考え、2006年11月の宮崎で開催した「Launch Pad」が第一回目の開催となりました。現在は、インフィニティ・ベンチャーズ主催の「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット(IVS)」の目玉イベントとなった「Launch Pad」ですが、IVSをスタートする前からスタートしていました。
クラウドワークスとfreeeの優勝で流れが変わる
最初は本当に登壇者を集めることも大変でした。必死に声をかけたりしていました。2012年頃から大きく流れが変わりました。クラウドワークスの吉田さんが優勝したり、freeeの佐々木さんが優勝したことがLaunch Padの大きな飛躍となりました。
freeeの佐々木さんは私がグロービス・キャピタル・パートナーズに在席したとき担当していたインタースコープというインターネット・リサーチの会社の学生インターンでした。2002年ごろの話です。2013年の1月にたままたま大手ベンチャーキャピタルのDCMさんの新年会に招待いただいたときに偶然 佐々木さんと再会しました。そこでIVSにお誘いし、参加登録を頂きました。Launch Padもチャレンジしたいということになり、そして見事優勝しました。その後、インフィニティ・ベンチャーズとして投資することになりました。
今では日本を代表するベンチャー企業となりましたが2002年の大学生の頃を知る自分にとっては親(兄?)のような気分であり、優勝したことは本当に嬉しいものでした。
AWSとともに成長したLaunch Pad
IVSには登壇者だけでなく、他にも思い出があります。2010年ごろでしょうか。現在はクラウドサービス最大手としてAWSは普及していると思います。当時 東京オフィスは2名の体制でした。マーケティングを担当していた小島さんとそして現在のソラコムを創業されたエバンジェリストの玉川さんの2名です。 当時 東京にデータセンターができるというタイミングでAWSとして普及させたいというタイミングでした。
2010年のIVSのときにAWSとタイアップしたプログラムを開催したり、Launch Padの賞品としてAWSのクーポンなど提供いただけるようになりました。最初は入賞者だけでしたが途中から出場者全員にプレゼントになったり、「なんでも叶えるウィッシュリスト」のような素晴らしい賞品も提供いただけるようになりました。そしてIVS CTO Nightのような共同のプログラムもスタートすることになりました。
AWSに玉川さんがからソラコムの創業の相談があり、会社設立をサポートしたり、その後、インフィニティ・ベンチャーズとして投資することになりました。
今回のLaunch Padの優勝賞品もとても豪華です。映像を見て羨ましく思いました。
このようないろいろな素晴らしい思い出がいっぱいです。このような素晴らしい経験をさせて頂いた登壇者の方や参加者の方、スタッフの皆様、そしてインフィニティ・ベンチャーズのメンバーには本当に感謝しております。 IVSでの時間はビジネスパーソンとして大きく成長した時間でした。素晴らしい時間をありがとうございました。
新たな決意
2015年9月末に体調不良 特にメンタル面の不調のためインフィニティ・ベンチャーズではこのまま仕事を継続することが困難になり、退職することになりました。今までもトラウマような精神的な外傷を持病のようにもって生活しています。
当時 責任のあったポジションだったこともあり、退職に関して揶揄する人も多く、酷評する人もいたことは事実です。本当に辛い思いをしましたし、責任を果たすことができず本当に申し訳ないと今でも思っております。
退職する前から2ヶ月間くらいは休んでいたこともありまして、退職後2ヶ月くらい経つとメンタル面は復調に向かいました。そして「新たな決意」が生まれます。
それが「Industry Co-Creation」(ICC)というコンセプトのコミュニティ型カンファレンスです。
退職の原因でもあり、今回の「悲しい出来事」ににもつながるのですが、インフィニティ・ベンチャーズをNo.1のベンチャーキャピタルにするんだという強い想いがあり、僕は競争的でした。ベンチャーカンファレンスは多くなり、しっかりポジションを構築しないとベンチャーキャピタルの資金も集まらない。
年2回のインフィニティ・ベンチャーズ・サミットの企画もプレッシャーも大きかった。さすがに同業他社でありIVSと同じようなカンファレンスを運営しているB Dash Ventuesの方々がIVSに参加することはさすがに難しいと考えていました。
そのため、参加を制限していたIVSという場において、今回のようなB Dash Venturesの渡辺さんのような発言に至ったのだと思います。
原因は私自身の不徳がいたすところです。あのようにIVSのLaunch Padの場でいろいろ言われるということは自業自得なのです。そのため現在のICCの活動を支援していただいる方々に本当に申し訳ないと思っているのです。
「競争」ではなく「共創」
ベンチャーキャピタルであると出資者や投資先もあるため競争相手など利害の対立もありました。「競争的」であったことを大いに反省しました。
今後は「共に創る」つまり Co-Creationの精神でやっていこうと考えてスタートしたのがIndustry Co-Creation(ICC)カンファレンスです。
現在のICCカンファレンスは登壇者数は160-180名となるような大規模なカンファレンスです。40セッションくらいあるのですが、どれも登壇者が真剣に議論しています。その議論を書き起こしと編集を行い記事として無料で配信しています。
160-180名のトップリーダーが一堂に会して交流することは非常に価値があることだと考えております。そして何よりその議論を形として残すことが単に参加している数百名だけでなく、多くの人に伝えることができる。社会全体に還元すべきものなのです。今年の2月から「メディア」をスタートしました。
メディアに関してはまったく経験がありませんでしたが、半年くらい経ちましてようやく月間のアクティブユーザーが12万ユーザーくらいまでの規模まで成長しました。
B Dash Venturesの渡辺さんは「年6回のカンファレンスは多い」という趣旨の発言をしておりましたが、ICCカンファレンスは「ベンチャー・カンファレンス」ではなく、ベンチャー企業や大企業など企業規模は関係のない「共に創る」ためのコミュニティ型カンファレンスです。登壇者の重なりもICCカンファレンス約180名の登壇者のうち10名程度の重なりです。参加者層も大きくことなります。
そしてICCはカンファレンスをベースにしたメディア企業です。カンファレンスそのものは「コミュニティ」を創るために開始しており、そのコミュニティの活動の内容を発信するのが「メディア」です。
狙うところも参加者も異っていますし、参加者にとっては選択肢が多いほうがよいと考えているのですが、なぜB Dash Venturesの渡辺さんがこのような発言をされるのか? これも私の不徳の致すところだと考えています。
やはりICCカンファレンスは新しくスタートしたばかりということで活動の認知も高くありません。メディアなどを通じてしっかり伝えていきたいと思いました。 創業1年の「スタートアップ」であるICCカンファレンスは体制もまだ3名足らずですし、小さな活動なのです。
今後の「新たな決意」
新たな決意は改めて応援して頂ける方が非常に多いということでした。C0-Creationの精神は非常に価値があると考えておりますし、カンファレンスの内容を配信しておりますがメディア企業として社会的な責任があると考えています。
昨今のキュレーションメディアの問題があるように「社会的責任」ということが本当に問われていると思います。
「悲しい出来事」というのは私の責任であり、自業自得であることです。ICCカンファレンスは素晴らしい活動だと思っており、そう信じてサポートして頂いいる支援者の方に本当に申し訳ない気持ちです。
今後はしっかりICCカンファレンスを成長できるようにリーダーしてしっかりとした行動をすること、社会的な責任をもってカンファレンスやメディアを運営することが僕の「新たな決意」です。
ICCカンファレンスは、必ずも参加を希望する方が全員参加できるわけではないため完全な「共創」になっていないのかもしれませんが、参加された方と「共に創る」ことを大切に活動をしています。その成果もしっかり出てきていると思います。
至らない点が多々あることは自分でもよくわかっています。そんな僕ですが今後ともご支援のほどぜひともお願いいたします。
小林
追記1:感想やコメントはNewspicksでぜひ。
追記2:B Dash Ventures 渡辺 様からは謝罪の申し入れのご連絡を頂きました(2016年12月12日)。 そして真摯に謝罪 頂きました(2016年12月14日)。