改めて、コーポレート・ガバナンスの重要性に関して書いてみたい。
(以前、書いたエントリーを再編集しました。)
最近は、役員退職慰労金の廃止や取締役の選任に対し反対する、社外取締役を提案するといったような株主からの提案が多くなった。先駆けは、M&Aコンサルティングの東京スタイルへの株主提案だろう。 M&Aコンサルティングは東京スタイルの投資計画に対する見解も発表している。最近では、以下のような表明や提案を行っている。
経営者の方々は嫌かもしれないが、私は株主提案は良いことだと思う。真摯に受けて止めるべきだと思う。しかし、株主自体は経営の実態に関しては詳しくはな く、提案を一方的に取り入れること自体は反対だ。 株主提案をもとに経営者として何が株主価値最大化になるのか?という点を真面目に考え、決算発表の時に で今後の戦略を説明すべきだと思う。地道かつ真面目なIR活動や戦略の説明が株価上昇につながり、従業員向けのストックオプションの効果的に活用できると か、公募増資 等 戦略的なアクションにつながる。
短期的な株価の変動を気にするのではなく、中長期的な企業としての成長を目指す経営こそ重要だと考えている。経営も株主も中長期的なコミットメントし、会社を盛り上げる必要があると思う。 公開企業の場合は、誰でも株式を購入することができるため、嫌だからといって特定の株主を排除することはできない。 公開企業であるだから、その責任を果たすべきだと思う。
「コーポレートガバナンス」とは何か? マイケルポーター氏の「コーポレートガバナンスが日本企業を成功に導く」と「Q&A編:正しい取締役会とは? ガバナンスの疑問に答える」を熟読して頂きたい。 重要なメッセージがある。
(以下、引用)
よりよい意思決定ができる機会としてとらえる
最後のポイントですが、ぜひとも株主とオープンなコミュニケーションを持つようにしていただきたい。株主とオープンなコミュニケーションをすればするほど、会社の運営を非常に戦略的な形で進めることができると思います。企業が何をやっているかを、株主に明確に説明したくない風潮が日本にはあるようですが、それは知ってほしいことについて、確信が持てないからかもしれません。 しかし、株主に対してより明確に戦略を説明すれば、株主あるいは金融市場から、より多くの支援を得ることができるのです。ただし、金融市場がやれと言っている指示に耳を傾けるだけではいけない。これはむしろ危険です。というのは、金融市場には企業が何をすべきかという点についてハッキリした意見がない、あるいはきちんと啓蒙された意見がないことが多いからです。 企業は、会社にとっての適正な株主を、自ら戦略を持って選んでいくべきです。た
とえば、ある株主は短期的な成長が欲しい場合がある。しかし、企業が株主に長期的な価値をもっと志向してほしいと願うのであれば、むしろそういう株主を積
極的に見つけることが必要です。自分たちの企業戦略が、どうやって成功を生み出すかを彼らに伝える。もし、提示したやり方を好まない株主なら株式を売却す
るでしょうし、提示されたやり方がいいと思う人たちは株式を買う。そうすると、戦略を支持する株主が残る。そしてそういう支援を得れば、ますます成功度は
高まるのです。 最悪なのは、株主の意見をただ一方的に聞くことです。いわゆる株式アナリストは企業に対して、
同じ業界の成功した他社と同じようにしてほしいと、しばしば注文を出します。多くの場合、株式アナリストは戦略に反する意見を言うわけです。ですから、まず自らの戦略を企業が決める。そして株主の前に出て行って戦略を売り込む、という姿勢が重要です。自分たちの戦略にフィットする株主に対して、株式を売るということなのです。
日本のコーポレートガバナンスは非常に弱いと思います。たとえば財務諸表に関しても、まだ極端に不明確です。真の業績は何かに関してもまだ不明です。ま
た、取締役会は、独立した取締役というよりも非常に内部的です。給与体系も年功序列制で成果主義が少ない。いわゆる、株式コンポーネントが給与に組み込ま
れていないということもあります。株主は完全に無視されているか、非常に疑念を持って見られるという立場に置かれている。 これまで話してきたことは、日本の今までの慣行から離れたものですが、単にそういうことを金融市場に押し付けられてやることではないはずです。それによって、よりよい意思決定ができるようになるものです。これを脅威とか、脅威に対する対応ではなくて、機会としてとらえていただきたいと思います。
以上、引用でした。 最後に株主に対しては、より洗練した投資家(株主)になることだ。株主の意見は会社に対する与える影響は今後大きくなると思う。