磯崎さんのブログで、ベンチャー企業は投資を受けた方がいいのか? というエントリーがありましたので、私の意見を書きたいと思います(というか、磯崎さんも私もブログを書くのでは?と思っているのでしょう)。
私なりの見解を書きたいと思います。
①お金が必要か?
経営をする上で、お金は必要です。どの程度必要か?という点がポイントです。 営業キャッシュフローだけでは、成長に投資するだけのお金がまかなえないということを考えると、財務キャッシュフロー 、つまり増資や借入で資金を調達する必要があります。 借入の場合は、返済する義務がありますし、未公開会社の場合は代表取締役の個人保証が必要となりますので、 リスクの高いベンチャービジネスでは、リスクマネーから調達するのが望ましいということになります。
PER=100倍の時価総額だとすると、10%相当の株式で資金調達できる金額は利益の10倍(PER100×10%)となります。 利益を伸ばすという意味では、投資が必要です。 1億円の利益の半分を成長にまわしても5000万円の投資しかできません。
すなわち、自社で生み出す利益以上に大きく成長したい場合は外部からの資金調達。リスクの高いアーリーステージの会社では、リスクマネーの調達が必要になります。
②何のために成長したいか?
何のために成長したいか?てという点がポイントです。まず、世界 No1になる 等の大きなビジョンが必要になります。 俺はこうしたい! というビジョンがあり、それに向けて成長したい と思うかどうかという点 がポイントでしょう。
③リスクマネーの調達 に伴うものは?
リスクマネーというのは、リスクが高いので、高いリターンが求められます。 消費者金融もそうですが、簡単に借りれるが、その分 金利も高い ということと同じです。
リターンというのは、投資して時点より、どれくらい高い株価になるか? という点 と その株価で流動化(売却)できるか?という2つがポイントにあります。 IPOして、株式市場で売却するか、 どこかの会社に買い取って頂くか、といったことが必要になります。
IPOとなると、準備も大変ですし、 IPO後はIR活動を含め、説明責任が発生します。 大変といえば大変ですが、 IPOしたらしたらで、個人資産は大きくなると思いますし、 買収等の大きな展開もしやすくなります。
VCから資金調達しちゃったから、IPOしないと・・・というのでは、なかなかモチベーションを維持することは難しいと思います。 やはり、 大きなビジョンを実現するために、リスクマネーも調達するし、IPOもして、大きく世界に羽ばたくのだ!という意気込みがないと、つらいでしょう。 ビジョナリカンパニーを目指すとか、21世紀を代表する会社にする といったビジョンです。
④「結婚」か?
VC投資の場合は、投資する際に、デューデリジェンスという作業を行います。事業の評価、経営者の人物評価等です。 一方、 ベンチャー企業が、VCを評価する ということはあまりありません。 VCは投資する前はいろいろと頑張ります といったようなことを言うのですが、実際 言っていたこと以上にサポートすることはほとんどありません。 にもかかわらず、事業計画 を達成していないで、なんで達成していないだといった「投資家」の質問をしてきます。しかし、VCが投資前にサポートする といったことを関しては言及されません。
結婚と同じで、相互に評価することが必要です。 戦略、競争優位性、実際のサポート能力といったところをデューデリジェンスする必要があると考えています。 私は原則、オープンな考え方なので、投資先の経営者の私の評価を聞いてくれ と伝えます(といっても、あまり投資先の経営者に聞く人はいないです)。
いっしょに仕事をしたことがないわけですから、通常の経営幹部の採用のように面接をするとか、レファレンスをとるといったことが重要な作業になるわけです。
株主になった場合は、未公開企業の場合は自由に売買できないので、相性が合わない場合は大変なことになります。 経営者と株主 相互に不幸な結果になります。 経営者と株主の利害が一致しないケースもありますし、難しいところです。 経営者に問題があることもありますし、株主に問題があることがあります。いずれにせよ、一度株主になったら、移動しにくいので、大変です。
それぞれの事前の評価がポイントです。 経営者も、「VCは何もしないので、調達するんではなかかった」というのではなく、 事前に判断する力をもつことが重要です。 調達するという判断をしたのは、取締役会だったり、株主総会だったりするわけであり、調達しないという判断もできたわけです。 経営者の評価能力が問われます。
VCを評価する方法を教えますと、
・担当して頂いている方を面接するつもりで、経歴とか仕事内容とか質問してみる。
・担当者の担当件数を聞く。一社あたりに費やす時間を確認する。
・投資先の経営者を紹介して頂く。 担当者がよいと、忙しい経営者も喜んで協力していただけるはず。
・紹介して頂いた経営者のレベルをチェックする。 すごいと思う経営者を紹介しているか?
・実際のサポート内容を具体的に聞いてみる。自分自身が悩んでいるポイントやサポートしてほしい
ことにかんする実績や方法を聞いたりする。
会社の規模が大きいとか、あまり関係なく、担当者がどういった方?といったことがポイントです。
大手企業の場合は、部署が異動したということもありますので、異動するかどうかといったことも確認
する必要があります。
当然ですが、いいことも、悪いこともありますので、なぜ良いのか、なぜ悪いのかをしっかり理解する必要があります。
⑤ VCからの資金調達を受けるべきか?
結局のところ、何を実現したいか?といったところによります。メリット、デメリットがあります。
私はVCは最高だ! と思っているわけでもないですし、 成功した場合はみんなハッピーですが、あまりうまくいかないときはなかなか大変な仕事だと思っています。
といろいろと書きましたが、どういったビジョンを実現したいか? それがまずポイントではないでしょうか。