今年1年のベンチャーキャピタル業界の動向をまとめてみます。
①ネット系コーポレートベンチャーキャピタルの設立ラッシュ
サイバーエージェント、セプテーニ、オプト、GMO、デジタルガレージといったネット系大手が次々コーポレートベンチャーキャピタルを設立した。 もともとバランスシートからの投資や買収を行っていたが、 ファンドから投資を行うことで、外部資金の活用や連結インパクトを低減するなどのメリットを享受し、 ベンチャー企業の囲い込みや投資リターンを最大化するといったことを狙っている。
ネットバブル期も富士通、日立といった大手企業がコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を設立し、うまくいっていなかったが、 今回はもともとベンチャー企業であった公開企業がコーポレートベンチャーキャピタルを設立している点が過去のCVCと異なる点だ。意思決定も早く、ベンチャー企業と同じような視点だ。 担当者レベルでは明らかにノリが違う。 ネット業界を中心に今年そして、来年以降も資金が流入することが容易に想像できる。
また、まだ設立されていないが設立がうわさされる会社もあり、今後も数が増えていくと
予想されます。
②金融系ベンチャーキャピタルの統合
個人的にはあまりインパクトがないのですが、NIFさんとSMBCキャピタルさん といった証券系と銀行系の合併。 そして、三菱UFJキャピタルのように親会社の統合のよって生まれたベンチャーキャピタルがある。 UFJキャピタル自体も3つのベンチャーキャピタルが統合して出来たベンチャーキャピタルであり、4つのVCの統合となる。みずほキャピタルも3つのVCの統合だ。
妻の実家でテレビを見たいたら、”三菱UFJキャピタル”のTVCMをやっていた。Hand-Onという文字もあり、 マジですか? と思わず、笑ってしまった。(ケーブルテレビですが)
③投資条件が甘くなってきた
いろいろなところの話を総合すると、Valuationに関しては甘くなり、投資条件も甘くなってきているという話だ。 甘くなる ということはどういうことかというと、ベンチャー企業側の言いなりに近い という話だ。 なんでもそうだが、ベンチャーキャピタル側の言いなりの条件でもいけないし、 ベンチャー企業側の言いなりの条件でもいけないと思っている。健全性を考えると、しっかりお互いのビジネス(利害関係)を理解した上で、条件設定をする必要がある。 そうしなりと、相互に脇が甘くなり、良いことにならない。
基本的に金あまりであり、 現在の株式市場の動向を考えると、とにかく投資しろという
プレッシャーが強く、上記のような流れになっているのだろう。
影響が大きいのが、①と③だ。 ②の統合に関しては会社がいっしょになっただけで実態は大きく変わらない。 ①は競合が増えた ということであり、③は投資環境の悪化 ということだ。
株式公開などEXITするには非常に良い環境だが、投資するには良くない環境 というのが2006年だろう。
私の場合は、ネットを中心とした投資に加え、新しいスタイルの投資をしていきたいと思っています。