今週は、アポは少なかったが、いろいろあったものだ。
一番の大きなトピックはライブドア問題。 M&Aの取引形態などいろいろとあったが、
一番気になったのは、友人やお世話になっている方々の会社の株価推移だ。
値動きをついついチェックしてしまう。 (別に株式を保有しているわけではない
のですが、気になります)
そして、グッドウィル折口さんの話を聞き、 経営理念や正しいことをする ということの大切さんを再認識しましました。あとは、2社の取締役会に参加し、いろいろ議論など。
ライブドアさんのM&Aの取引の違法性はない という主張だが、違法である とか違法でない という次元で議論するより、 ”良いこと”と”悪いこと”(善悪) という点を企業経営者として考えるべきだろう と 感じた。 違法ではないが、悪いことはあるし、違法でも良いことがあるかもしれない。
今回のM&Aのスキームのライブドア社の社内結果では、マネーライフのディールでは、なんとファンド3つ 関係している。
社内調査を引用すると、
LDMが株式交換契約を締結した際に、MLの全株式を保有していたVLMA2号投資事業組合は、株式会社ライブドアファイナンス(以下「LDF」)が業務執行組合員であるEFC投資事業組合の出資先であるM&Aチャレンジャー1号投資事業組合の出資先であります。
それぞれ業務執行組合員が異なっているなどの理由からLDグループ会社として連結決算に組み入れることは妥当でないという判断をいたしました。
また仮に一連の報道の通り、MLをLDの連結対象とする判断をした場合においても、LDが情報開示を行うか否かについては、東京証券取引所の適時開示規則によりますと、その当時においてLDが開示をした可能性は非常に低いと考えております。(東京証券取引所の適時開示に該当しない軽微基準は別紙のとおりです。)
上記の意見は、投資組合 というもの と、 それも業務執行組合員、つまりジェネラル・パートナー が異なる というところからの意見です。
日本語だとわかりにくいので解説しますと、 我々のようなベンチャーキャピタルは、投資組合=ファンド(LP) と 業務執行をしているGP(ジェラネルパートナー)に分かれます。
投資の意思決定をするのがGPの仕事です。 通常の投資家(LP)は投資の意思決定に関与しません。 投資信託にお金を投資するようなものです。
この3つのファンドが絡むというのが面白い。 VLMA2号投資事業組合 というのファンドの名前は開示資料に出ていました。 おそらく、多くの人はこの投資事業組合って何?と思うわけです。 我々だと、Apax Globis Japan Fund L.P.という名前です。 運用しちえる人=GP って誰? というのに関心が移ります。 バリューリンク社かー私が知らない会社そんなのがあるのか、株式交換でかなり儲かったなー といった見方になります。
通常はこれで終わりですが、 バリューリンク社に興味をもち、情報交換などをすると、
だいたい ファンドの投資家は誰ですか? みたいな話になります。ちなみにVC同士で
情報交換すると、①投資分野や最近の投資先の話、②投資スタッフの話。経歴はどういう人が多いとか、何人いるとか、 ③ファンドの調子ってどう? とか ④ファンドの投資家ってどんなところから集めているのか? といったような話になります。 Apax Globis Japan Fund L.P.であれば、90%は海外の機関投資家(年金基金など)だよ といった会話になります。
バリューリンク社の場合、 株式会社エイチ・エスインベストメント が運用するファンド(M&Aチャレンジャー1号投資事業組合)から出資して頂いているんだ という話になります。 ファンドに出資するファンドは、”ファンズ・オブ・ファンズ”と呼び、変な話ではありません。 Apax Globis Japan Fund L.P. にもファンドの投資家はいます(もちろん、世界的な有名な会社だったりしますが・・)。 投資家の名前は通常は開示しません。逆に投資家が開示するケースはありますし、投資パフォーマンスまで開示するような会社もあったりします。
話を戻すと、 HS証券系の会社のファンドから、出資を受けて買収したのね という話で、通常終わりになります。 証券系のファンドは通常は機関投資家だったり、お客様(個人の富裕層など)だったりが投資家です。 ジャフコさんは野村證券系、NIFさんは大和證券系なので、同じような見方です。
ということで、3つ絡む と だいたいわからない といったことになります。
改めて、以下のことはどう思いますか?
業務執行組合員が異なっているなどの理由からLDグループ会社として連結決算に組み入れることは妥当でないという判断
連結決算に組み入れることが妥当でない という判断ではなく、 連結決算に組み入れないために異なる業務執行組合 と 投資組合を 活用した という言い方ではでしょうか? グッドウイル折口さんの講演を聴いて、あまり前ですが、重要なことは、「原因があるから結果がある」ということです。
また、ファンドビジネスをビジネスにしている会社は、株式の売却を売上に経常することができます。 例えば、デジタルガレージ社のCEOコメントを読むと、
今回1月18日付けで、DGIが第二位株主(外部筆頭)として10,200株(16.8%)保有する株式会社ジャストプランニング(Jasdaq銘柄コード:4287、以下JP)の株式3,750株(約6.2%)を、JPと株式会社テレウェイヴ(Jasdaq銘柄コード:2759、以下TW)の資本業務提携に関する合意に基づき、譲渡することといたしました(異動後も、引き続きDGIは第二位株主として10%強のJPの株式を保有し続けます)。
このようなディールに伴う収益は、昨年までの体制ではDGの営業外収益として計上されてきましたが、純粋持ち株会社体制への移行により、今回のディールに よる収益はインキュベーション事業セグメントの成果としてDGIが約16億円の売り上げと約9億円の営業利益を計上します。 <詳細はIRニュース(PDFファイル)をご参照ください>
もともとデジタルガレージ社は投資会社のような感じであったということもあり、専門の子会社を作ったというのが上記の話です。(別に悪い例であげていません!)
この場合、昨年度までは、9億円の特別利益を計上でしたが、 今回は9億円を営業利益となります。 例えば、通常の営業利益が1億円だった すると、9億円の営業利益がでたら、10億円の営業利益 という表現になります。 ファンドではない場合は、1億円の営業利益で、特別利益で9億円、 当期税引前利益で10億円となります。 営業利益は本業の収益ということになりますので、見え方としては、たった1億円しか本業がないのに、株式売却で9億円も稼いだね という見方ではなく、本業から10億円 という風になります。
ライブドアさんは、村上ファンドさんようなヘッジファンド だという見方もできるため、投資からリターンが出た場合は営業利益に計上するのは問題ないと思います。
例えば、ニッポン放送さんの時は、ライブドア・パートナーズという会社を設立し、株式を買い集めました。そして、フジテレビさんに売却しています。 資本金10百万円の会社をフジレテレビさんは21億円で買収したことになります。(資本金10百万円の会社が670億円の借入をして、ニッポン放送株式を買い集めた という内容です)。 約21億円が売却益です。
また、ライブドア・マーケティングやターボリナックス社の株式を売却し、株式売却益を得たりしています。買収して、価値を高め、一部株式を売却する というのは村上ファンドさんと
同じような活動もしています。
上記のような活動が悪いということではなりません。よくある話です。
ポイントは一連のことのインサイダー取引(グルだったということ) と M&Aの際にコンサルティング料などで、売上・利益を付け変えていた ということでしょう。通常、M&Aの際には仲介会社などに仲介手数料を支払います。 売却した人 や 買収する人 からお金を取るわけです。トランザクションの数%といった感じでフィーはだいたい決まっているのですが、その金額が妥当かな数字だったか?とか、誰が誰からどれくらい?といったところがポイントです。
例えば、10億円の買収だとすると、仲介手数料10%です というと、会社から1億円支払うことにあります。 株主から仲介料をとっているかもしれません。 買収するから1-2億円に支払いなさい、それでも良い話でしょう? ということなかもしれません。 お互いの契約の話なので、法外な値段かどうかはわかりませんし、買収する際にはいろいろデューデリジェンスの費用などいろいろお金は掛かることは事実なので一定金額であれば良いかと思っています。
と いろいろとありますが、これくらいで。 違法だ、違法でない といったことは私にはよくわかりませんが、 いろいろとわかったので、今週は大変勉強になりました。