保田さんの ベンチャーキャピタルとの付き合い方(2) は面白いですね。
私のValuationの考え方は、リスクとリターンのバランス という点です。 このリスクとリターンのバランスですが、求める投資リターンによいって変わります。IRR5%の投資とIRR30-50%を目指す投資戦略は異なります。
私の場合は、リターンというのは投資のリターンです。IPOの場合の時価総額は利益×PERで計算されますので、投資案件の今後の事業計画(特に利益の規模感)とPERの水準を見極めます。PERは株式市場の状況によって変化するため、原則は利益の規模感に注目します。利益の規模というのは市場の成長性、競争優位性、ビジネすモデル(特に利益率とスケーラブルなビジネスかどうか)が重要になりますし、実行する経営チームの質が最重要になります。 ネット業界はPERが高いから投資するというのは勘違いだと考えています。 たままたPERが100倍になって、投資案件としてホームランになったということはありますが、最初からPERの高さを目的とすることはしてはいけないと考えています。
リスクは結局のところ、計画の実現可能性がどの程度か? という点です。会社の成長ステージにおいてリスクを見極めることがポイントになります。まだサービス開始していない会社だと、当然ながら全然駄目 ということもあります。 サービス開始して、3ヶ月たってユーザーの評価が高く、成長率も高い といった場合はある程度成功確立が高い というイメージです。
リスクに見合うリターンが見込めるか?という点で、投資の判断を総合的に行います。
あと、基本的にValuationが安いから投資することはありません。 良い会社はValuationは高いものです。 良い会社に投資することが前提として、我々としてどのようなポートフォリオを組むか?とか、リターンを狙うのか? とか、有名な会社なので、まずは投資してブランディングに活用するとか、いろいろなことを考えていきます。
ここらへんはアートの世界? なので、個別案件を経験しながらセンスを磨くことがポイントになります。
(以下引用)
ベンチャー経営者の方は、ベンチャーキャピタルはベンチャー企業の評価においてはプロだという点を見落としている、もし くはプロだとは認めていないのかもしれません。高すぎる株式を購入して投資を行うベンチャーキャピタルは存在しないはずです。なぜかと言うと、ベンチャー キャピタルは
- ベンチャー企業の適正な株価を分析できるので、株価が高いか低いかは当然判断できる
- 安く株式を購入したいと思っているので、高すぎる株価で投資することはない
はずです。したがって、いくら会社側、経営者側が高い株価でベンチャーキャピタルに投資をしてもらいたいと思っても実現しないわけです。ですので、「高すぎる株価で投資を受け入れるとまずいでしょ?」と思うこと自体がおこがましいということになってしまいます。
しかし、ここまで読んで違和感を持つ方も多いかもしれません。それは実際に高値で投資をしてしまったベンチャーキャピタル、もしくは、まんまと高い株価で資金調達に成功したベンチャー企業を知っているからだと思います。
「高い」という評価は、
- 投資を検討するときに高いを思う場合
- 後で振り返って高かったと思う場合
の2つのケースがあると思います。前者の場合は上述したとおり投資は実行されません。少なくともされない「はず」です。