Pre-IPO投資の実例をいろいろと分析してきましたが、投資戦略としてどう考えるか?という点を考えてみます。 投資戦略はあくまでベンチャーキャピタル業務に従事している方など背専門的に投資を行っている人 を対象としています。 (一般の方は未公開株式では例えば1年以内に上場するといって一般個人に対して公募増資したりなど、詐欺とか詐欺にちかいような資金調達があります。)
1 Pre-IPO 投資の定義
- Pre-IPO投資の定義は、「1年以外に上場することが見えている時点での投資」と定義します。具体的には上場の「基準期」の業績の着地点の見える段階での投資やそれ以降の投資ということになります。
- 上場のスケジュールは「申請期」とか「基準期」といった専門用語があります。申請期とは言葉通り、上場申請をする期です。 3月決算の会社が2006年11月に上場した場合、2007年3月期(2006年4月ー2007年3月)が申請期となります。 基準期というのは申請期の前の期です。
- AQインタラクティブ社やソースネクスト社、ウェブドゥジャパン社の最後の第三者割当増資や株式譲渡などは2006年3月期の基準期の最後の4半期1-3月といったところで行われています。
2 (投資会社としての)投資戦略
- 複数の銘柄(会社)に投資し、リスク分散することが原則。一喜一憂はしない。
- 上場時の公募価格以下で投資を行うこと。 公募価格以上の価格でPre-IPOでの投資を行った場合は、失敗だ。 理由は上場したら誰でも株式を購入できるため、わざわざリスクをとって未公開株式を取得する理由はないため。
- 上場後の1-2ヶ月間は、株価の上昇や売買量が多いため、「ロックアップ」のかからない株式を取得すること。
- 基準期での第三者割当増資で引き受けた株式は会社法で上場後 180日間の株式譲渡は制限されます。
- また株主名簿上位10社は主幹事証券会社とのロックアップ契約となる場合が多いです。
- したがって、第三者割当増資ではなく、株式譲渡で取得すること。そして株主名簿上位10社に入らない(ロックアップがかからない)ようにすること。
- 具体的にはソースネクストの株式を取得したジャフコ社のパターンがベストシナリオ
- この投資戦略の課題は、投資した時点の株価 と IPO時の公募価格の差を読むのが難しいこと。IPO時の株価は予想の業績 や 業界平均PERなどで決定される。業績の達成度合いはもちろんだが、業界平均のPERも大きな変動の可能性がある。 できるだけ買取から売却までの時間を短縮できるかがリスクを減らす方法だ。そのためロックアップは避けることが重要になる。
- したがって、一番としてはいかに「割安」で株式譲渡で買い取ることができるかがポイントだ。割安とは、公募価格に対して20-50%のディスカントしたくらいの株価のイメージと考えたほうがよい。 しかし、おいしい投資案件は少ない。 株主の事業会社の特別利益をつくるための株式売却ニーズやVCファンドの償還時期があるところと常にウォッチするといったことがポイントだろう。
- 次に「割安」の第三社割当増資だ。「割安」が重要だ。時価総額の絶対値としてしっかり見るという点と、PERの低さがポイントだ。 未公開の段階でPERが高すぎするとの伸びしろが少ない。割安であれば、ロックアップ期間のリスクも許容できる。
- 最悪のシナリオは、明らかに割高で投資し、第三者割当増資のため、ロックアップがかかるというものだ。 事業は順調だが、結局投資して、50%になってしまったということになりかねない。
- 割安というのは20-50%ディスカウントといったような数字のイメージを持つことが重要だ。IPOするから投資するというのは間違いだ。 業績の予想の仕方 や 公募時の株価の予想など、計算式をつくり判断するといった作業が重要になる。公募価格から初値は50-100%アップのイメージだ。どの程度の売買ができるかとか、
3 投資会社としての意味など
- 上記の投資戦略は、ベンチャーキャピタルよりかはヘッジファンドなど公開株式をトレーディングする会社のほうが向いている。日本では証券会社系のVCは得意だと思う。 株式取得時には主幹事証券会社などのネットワークが重要で、売却のときは市場での売却能力(トレーディング能力)がポイントになるからだ。
- 私のところにもこのようなPre-IPOの投資案件が来ることもあるが、実際はValuation (時価総額)が高すぎて、弊社のようなファンドでは手が出ない。もちろん、良い会社であることが多い。 自分としての付加価値も少なく、差別化も難しいので、実際に投資いたったことはない。
- また、アーリーステージなどの会社にリスクマネーを提供することが本来のベンチャーキャピタルの役割だと考えているので、Pre-IPOの投資はPre-IPO投資が得意なプレーヤーが行うといったほうが自然な考えただと思う。 上場するかしないかと、株価が値上がるかどうかを日々考えるよりかは、 EZ GREEのユーザー数は伸びたかな?とか、GREEのオフィス移転は無事終わったかな?とか考えるほぅが面白いし、やりがいのある仕事のように思う(私見)
最後に一般の人はくれぐれも未公開株投資は避けたほうがよいでしょう。近未来通信のように株式投資ではないけど・・・ といったようなものありますので要注意です。