先週の「華麗なる一族」(総勘定元帳が「決定的な証拠」になるか?編) という磯崎さんのエントリーがあった。
父親でメインバンク神戸銀行の頭取大介(北大路 欣也)を背任(大介は阪神特殊製鋼の非常勤取締役を兼務)で訴えると息巻く鉄平(キムタク)に、友人の弁護士(萩原聖人)が「財務内容を徹底的に洗いなおせ」とアドバイス。
夜を徹して資料を洗いなおす鉄平が、ダンボールの底に隠れていた長期借入金の総勘定元帳を見つけて、「ついに決定的な証拠を見つけたぞ!」と言うんですが、その総勘定元帳の記載は、
1月上旬に20億円の長期借入金の増加((父親の)阪神銀行分)
その後、20億円の長期借入金(協調融資の大同銀行分)増加
1月下旬に20億円の長期借入金減少(阪神銀行分)というもの。
これは、大介が公に主張している、「高炉の突貫工事の無謀さに驚いて20億円の融資は撤回させてもらった」ということそのままで、背任の決定的な証拠になるんでしょうか?というのが素朴な疑問。
そもそも、大介(&鉄平)に対する個人的な好き嫌いを除いてフェアに考えれば、電炉会社が高炉に進出するという計画を見て20億円融資撤回するというのは、「business judgement」の範囲内、という気もします。
「一時的に返してくれ」といって20億円を引き上げて戻さない、というのは(どっかで聞いたような話ですが)、詐欺的行為な気もする一方、「返してもらっている間に銀行としての判断が変わった」と言われると、これも大変ビミョーであります。
なぜ、決定的な証拠になるか?といったことは、
- 融資を引き上げたのは1月31日と判明。
- しかし、高炉建設に意思決定をした取締役会は2月15日(だった)だった。
- つまり、「電炉会社が高炉に進出するという計画が無謀」という判断で融資実行されないならば、2月15日に意思決定しないだろう ということが証拠
といったことになります。 次回を予告を見ると、証人をどうするか? かいったところです。 論点としては、 ①融資を引き上げたこと知らずに(OR知っていて)意思決定した取締役会の責任は? という点と、 ②融資を引き上げたことを隠してた阪神銀行 という構図でしょうか。 阪神銀行からは阪神特殊製鋼は融資を引き上げたことを知っていたはず という話を主張することになります。
万俵 頭取 の悪意があるかどうか別にして、 CFOの銭高さんが取締役会に資金繰りなどを報告するのが仕事であり、背任行為になります。錢高さんは取締役でもありますから、訴訟するなら、銭高さんの背任行為を訴訟すべきでしょう。 日興コーディアルグループの元社長などに損害賠償の訴訟があったように、どうように理由で損害を与えることになった責任は大きい。
なお、阪神銀行に支持されたとはいえ、取締役であるCFOが背任行為を犯すると、個人に損害賠償がくることになりますよね。 阪神銀行は守ってはくれません。社外取締役の場合は損害賠償の限定責任を定款に定めることができますが、常勤の人はさすがに厳しいですよね。