最近、いろいろなスタートアップの方とお話する機会があるのですが、今年のネットなどIT関連のスタートアップの資金調達状況の環境は厳しいという感触を得ています。私がエイパックス・グロービス・パートナーズに転職したのが2001年6月ですが、そのときもネット関連なんかに投資するのか? というのがApax Partners の反応で、国内のVCも同じような感じでした。
環境としては2001年とかそんなところに近い感じがします。
よくあるパターンとしては、①投資金額が小さい(数千万円)、②他社が投資するところに投資する(横並び) といったところです。 一社単独で数億円投資する というスタイルではなく、 仲間といっしょに分散投資し、リスクを抑えるという考え方です。
中途半端に3000万円 VC1社で投資しても、数ヶ月以内に追加で資金調達する必要があるという状況だったら、VCが投資しない可能性があり、かといって1社で追加投資して支えるというわけにはいかない といったような状況です。
最近の資金調達の事例では、ミルモ社がよい例でしょう。 最近の2.5億円の増資のアナウンスで発表された株主は以下のとおりです。事業会社とベンチャーキャピタルが並びます。
株式会社インデックス
e-まちタウン株式会社
パケットビデオ・ジャパン株式会社
株式会社メディアシーク
エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社
三生キャピタル株式会社
株式会社ジャフコ
新規事業投資株式会社
日興アントファクトリー株式会社
株式会社 HIKARIプライベート・エクイティ
BIGLOBEキャピタル株式会社
三菱UFJキャピタル株式会社
安田企業投資株式会社
当社役員及び従業員
これだけの株主に一社一社 いろいろと対応するというのは大変な作業だったと思われます。かといっても1社で数億円投資する投資家はほとんどいないわけです。
他の増資の例を見てみると、メタキャストはミルモ社と反対に2社で約2.3億円の増資を行っています。 ミルモ社は携帯電話での動画サービス、メタキャストも動画系サービスです。
Venture Now より
株式会社メタキャスト(本社:東京都港区、代表:井上大輔)は1月8日、株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ(以下グロービスCP、本 社:東京都千代田区、代表:堀義人)、株式会社東京大学エッジキャピタル(本社:東京都文京区、代表:郷治友孝)を引受先とする総額2億3166万円の第 三者割当増資を実施したことを明らかにした。払込みは2007年12月28日までに完了。
グロービスCPの引受価額は1億5444万円、東京大学エッジキャピタルが7722万円。 メタキャストでは調達した2億3166万円のうち50%の1億1583万円を資本金に組み入れ、あとの50%を資本準備金に充てている。なお増資後の資本 金は3億86万円、資本準備金は非公開。
資金調達の戦略はとにかく知り合いにVCを紹介してもらって、プレゼンし続けるということではなかなかよいというものではありません。 以前、グロービスの投資先だったワークスアプリケーションズの話では、最初の増資のときにはほぼ全社のベンチャーキャピタルにビジネスプランを送ったが、面談してくれたのがはグロービスとジャフコだけだったということでした。
1996年当時も冷え込んでいた時代でしたが、やるだけのことをやって何とか成功に結びつけるという気合というか執念こそ重要。