ブログを書くために調べたわけではないのですが、ベンチャーキャピタルの投資動向やIPOの動向など面白いのでまとめてみました。
データで見る日本のベンチャーキャピタルと新興市場の動向
(はじめに。このブログはリサーチレポートでも何でもありません。データの引用などは自己責任でお願いいたします)
2007年度はベンチャーキャピタル業界にとって大きな変化の年となっている。
上場企業数減少の大きな理由としては、株式市場の低迷である(他 J-SOXなど上場コストの増加など)。 新興市場のIndex であるジャスダック指数の推移は2006年1月のライブドアショックから下落傾向が続く。
一方、ベンチャーキャピタルの投資動向は2006年までの新興市場の好調を受け、投資金額は一気に増加し、2006年度はネットバブルの2000年度と同レベルに達した。
投資金額の背景には、大手ベンチャーキャピタルの投資動向の影響が大きい。2005年10月にはNIFSMBCベンチャーズの誕生。そしてジャフコ社のファンドサイズは大型化し、NIFSMBC社のファンドも同様に大型化した。
- 2007年07月 ジャフコ・スーパーV3シリーズ 1,076億円(設立時)
- 2006年8月 NIFSMBC VCファンド2006シリーズ 総額600億円
- 2005年10月 NIFSMBC社誕生(NIFベンチャーズとSMBCキャピタルが合併)
- 2005年9月 ジャフコV2ファンドシリーズ 986億円
ファンドサイズの大型化 と 株式市場の好調 という要因によって、大手ベンチャーキャピタルは投資を加速させた。 上場VC3社(ジャフコ、NIFSMBC,JAIC)のベンチャー投資(国内)の動向をまとめたのが以下のチャート。
しかしながら、現在の株式市場低迷によってリターンが減少傾向にある。IR資料のIPO初値倍率の推移を分析すると傾向がわかる。2004年・2005年のIPO初値倍率は好調であった。ジャスダック指数の推移と比較すると相場は上昇局面にあった。 2007年度(4-12月)はジャフコ、NIFSMBCの両者とも3倍以下の倍率となっている。 この倍率は「初値」から計算している。IPO時の「公募」価格は初値より30-50%低いのが一般的だ。 2005年度・2006年度の供給量が多く、投資時点のValuation が高く、上場時の現在 株式市場が低迷しており、倍率が低くなっているというのが現状である。この倍率はネットバブル崩壊後の2002年度と近いレベルである。
(ジャフコ社のデータのみ計算できたためジャフコ社のデータで説明すると) 2007年度(4-12月)の動向を見ると下落傾向は続いている。9ヶ月平均では2.8倍であるが、第三四半期(10-12月)は2.0 倍となっており、ネットバブル後の2002年度と同じ水準である。
株式市場の低迷、そして 投資リターンの減少 などの理由から現在、2007年度の投資動向に大きな変化が起きている。2007年4-12月では前年比30%減少している(ただし、2007年度からジャフコのデータは国内バイアウト投資も含む。区分がなくなった)。 細かく見ると第一四半期から第二四半期にかけて大きく減少している。 最近のベンチャー企業との情報交換では、資金調達活動の厳しさを聞いてたが、実際に投資金額は大きく減少傾向にある。
スタートアップ企業にとって資金調達活動の負荷が大きくなる。状況としては2002年度の状況となるだろう。また、過去に投資してしまったものはもとには戻らない。現在のIPO環境がしばらく続くとするとベンチャーキャピタルとしては厳しい状況になるだろう。
上記のデータのほかにネット、モバイルなどのセクターのIPOの状況も調査している。IPO時の資金調達金額はどれくらいか? 公募価格 と 現在の株価はどうなっているのか?といった点である。現在、いろいろと分析中だ。
ベンチャー企業のとって気をつけるべき点をいくつかあげるとすると
- ミドル・レイターステージで高いValuationで資金調達したベンチャー企業はキャッシュフローのコントロールを気をつけること。資金ショートの場合は、株価を下げて資金調達する(ダウンランド)ということになり、既存株主との関係も含め、難航を極める。2001年、2002年は多くのベンチャー企業は苦しんでいた。
- これから起業する、または起業してこれから資金調達をしたいと考えている起業家はとにかく早くベンチャーキャピタルなどにコンタクトし、関係をつくること。2002年当時は調達は6ヶ月といったこともざらにあった。
- 現在、特にベンチャーキャピタルは他ベンチャーキャピタルの動向のみながら考えるというリスク回避傾向になる(神経質になる)。資金調達をしっかりまとめるリードイベンスターを確保できるか?といった点、またはとにかくパワーでかき集めるという執念が重要だ。
- 簡単に資金調達できないが、苦労して資金調達したお金は大切にする気持ちが強くなり、企業としても筋肉質になります。 2002年度の時はInternet is gone. It's over ! と Apax Partners のアラン・パトリコフに言われ、かなり厳しい時期でしたが2005年・2006年度は復調しました。 成長市場にフォーカスし、よい経営チーム・組織を作る といった経営の基本をしっかり実行することがとても重要です。
厳しいときでですが、オープンソースの普及などのおかげで、ネット・モバイル関連企業は低コストでサービス開発・運営ができるようになっています。 日本はシリコンバレーと比べ、ベンチャー企業は少なく、競争も少ないのが現状です。特にプリファード・インフラストラクチャーのように若くて才能を持つ会社にとっては大きなチャンスです。インタビュー記事にありましたが無給で働いた といったように若さというは大きな武器になるでしょう。
ネット・モバイル市場は成長分野です。インフィニティ・ベンチャーズとしても業界に貢献し、業界とおもに成長したいと考えております。 これからスタートする我々にとって大きな機会であると考えています。 インフィンティ・ベンチャーズ・サミットは株式市場の動向に左右されず、しっかりと運営していきたいと考えています。
(誤字脱字などはご容赦ください! 時間もないのでチェックできておりません・・・)