ベンチャー企業の経営者と話している中で、ベンチャーキャピタルなどから資金調達する際に知っておくべきことを知らないケースがあるな と感じます。
シリコンバレーでは例えばベンチャー企業が資金調達するときには必ずWSGRなどの法律事務所がRepresent しており、条件の交渉などファイナンスにおける重要なところにはいってきます。 弁護士自体もビジネスを理解することが求められ、VCの紹介も積極的に関与しています。 以前ですがWSGRのYokum Taku さんと話していたときに投資案件の紹介も受けました。
日本の場合、そもそも資金調達をどうやったらよいのか? といった点から始まるケースが多いように思います。事業計画の説明に関しても事業の説明が先にダラダラと続き、売上計画とか資金調達計画とかの話になるのが一般的です。
以下、ポイントをまとめます。
1. 投資条件を話す。
まず、VCのような投資会社としては、結局、 どんな条件でいくら投資するのか?そして、それがどれくらいになりそうか(リターン)? リスクは何か? といったことが重要であるため、結論から先に説明するが良いと考えております。
私の場合は、まず最初に「この会社はPre-Money で5億円の会社なのか、それとも20億円の会社なのか?」といった点をまず知りたいと考えます。 事業の話を聞いても結局、このステージでこのレベルだと これくらいのレンジだろうということを考えるからです。
公開企業ですと株価もわかって業績も開示されていますが、 未公開の会社ではどれくらいの条件で資金調達したかなどは開示されていません。 実際にどのくらいの会社がどれくらいの評価になっているのか?という点を常に把握する、意識することが資金調達で意識する必要があります。
以外にわかっていないことが多く、投資する会社がいない場合は、条件をどんどん下げていって再検討をお願いするといった話をよく聞きます。はじめの段階から理解する必要があることだと思います。
2. VCのコンタクト先
また、以外にもVCとのコンタクトが少ないことに驚くことがあります。 基本的に まずは会いましょうといって電話してきたりするVCですと、必ずしも その会社にとってベストの担当者であるとは限りません。評判のよいベンチャーキャピタリストは誰なのか? この業界を理解しているのは誰なのか?といった点を把握する必要があります。
だいたい このVCではこの人が良い とか、そういう情報があります。 通常、ベンチャーキャピタルの会社のリストはホームページなどに出ていますが、担当者レベルまで名前もないし、連絡先もわかりません。
IBMの勝屋さんのブログなど見ていると、いろいろなVCの方が出てくるのでリストアップしておくというのがよいかなと思います。
3. VCの投資プロセスを理解する
資金調達活動も営業活動も基本的には同じです。 誰が意思決定者なのか、どのようなプロセスなのか、何を重視するのか?といった点を理解する必要があります。 日本の場合よく聞くのは検討期間が数カ月といった長い時間がかかるという点です。 正直シリコンバレーや中国でのスピード感とは圧倒的と違います。 シリコンバレーでは「こうだ」ということは日本で言っても無意味なのですが、 長くかかる時間をいかに短くするのか?といった点がベンチャー企業にとっては重要です。 重要性を理解するには業界のスピード感を理解しないといけません。例えばmixiアプリの開発をしているベンチャー企業がいると思います。 1億円の資金調達を行いたいと考えたときに、 いろいろVCに当たりました。 そのときに 「mixiアプリ自体どうなるかわからないので進捗を様子をみたい」 というVCがいるとします。
2-3ヶ月たち、「サンシャイン牧場」がスゴイことになっている ということで市場がホットである とわかった段階で、資金調達をしているのではタイミングが遅いということになります。ベンチャー企業はスピード自体が競争優位につながります。 タイミングは重要です。
とはいってもどうしたらよいのでしょうか? 2 のVCのコンタクト先につながりますが、 業界の動向を理解している方、つまり、このタイミングで仕掛けるのがよい と主体的に考えてくれるVCの方 を巻き込まないといけません。 そしてなによりも重要なのはその担当者の方の社内の位置づけです。 パートナーなのか? とか意思決定に与える影響を知る必要があります。 キーマンは誰か? という点です。
結局、 良い技術であれば売れるとか、 良い技術であれば資金も集まる とかそんなことはなく、 営業も資金調達活動もしっかりやっていけないと結果には結びつきません。
私自身 ファンドの資金調達活動を行ってみて、上記の同様のことを感じます。VCファンドの場合は投資条件というのはほとんど同じなので、差はないのですが、 誰にどうあたるのか?といった点は特に重要です。