こんにちは
小林 雅です。
「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、僕は最近「木と森を見る」ことの大切さを痛感します。
ICCカンファレンスに関しては2016年3月と9月、さらには2017年2月の開催まで計画されています。メイン会場となるホテルの予約は完了し、パーティ会場も予約が終わっています。実際の会場の利用方法やプログラムのスケジュールも決定している。
全体を見ると「森」なのですが一回一回(木)の手配をしっかり考えていくと福岡の会場ではこのような使い方がをするが京都ではどうなるか?など一度見直す作業をします。 今回の3月開催は4会場同時進行で行うプログラムなので京都も4会場で開催しようと考え、会場の追加手配をしました。さらに福岡はもともと3会場同時進行だったのですが1会場分を2分割することで4会場に増やすことにしました。3回連続 4会場の同時進行の会場セッティングに統一することになりました。
さらにスケジュールを組み立ていくとこの時間帯にどのような企画を行うのか?という点を2017年2月のスケジュールと2016年9月のスケジュールの2つのスケジュールを見ながら考える。「ロードマップ」が重要であり、企画の一貫性やコミットメントが重要なわけです。例えばプレゼンテーション形式のピッチコンテストを開催する場合はしっかりロードマップがないと出場するモチベーションが生まれない。ICCカンファレンスはどのような体制で発展するのか? 参加する経営者として時間を投資する意味があるのか?など頂いた機会を十分に活かすことを考え続けています。
スタートアップがプレゼンテーションを行う「スタートアップ・カタパルト」という企画があるのですが、3月24日が初開催です。今回はピッチ・コンテストでははなく、スタートアップも含め注目企業が10分間のプレゼンテーションを行うものです。75分セッションに5名登壇し、質疑応答の時間を十分に作る。第一線で活躍する経営者・幹部の方を「メンター」にお願いし、30名という小さい会場でありながら質の高いコミュニティを作ることが今回の「スタートアップ・カタパルト」です。5つのセッションがあるため各セッションあたりに10〜15名のメンターをお願いします。合計人数は50名を超えるようなプログラムになります。このような集中プログラムは今までないくらいに「豪華」を呼ばれるようなものを企画する。
ここまで行うのは今後のロードマップがあるためです。産業発展に貢献するのがICCのビジョンです。「スタートアップ・カタパルト」そのものの注目度が高くならないとスタートアップの本当の意味の「カタパルト」(射出機)にならない。今回は25社のプレゼンターを集め、さらにはメンターを50名のICCの登壇者の方々にお願いする。 ここまで「森」を見ての枠組みを考えることです。
そして「木」も見ることも大切です。 プレゼンテーションの質が「スタートアップ・カタパルト」の評判を決定的なものにするためです。これは出版の作家と編集の関係のような二人三脚です。「スタートアップ・カタパルト」の一般公募の方の面談も始まりました。面談する経営者の方は既に実績のある方々ばかりですが、実際にプレゼンテーションを聞くとわかりにくいところが多い。プレゼンテーションを伺いないながら細かく「なぜこのメッセージなのか?」「この図には意味があるのか?」など質問をしております。細かく見ると改善の余地が多々あります。格段にわかりやすくなるなと思うことを伝えるようにしています。
以下 ポイントをまとめてみました。
スライド と 実際に話していることがマッチしていない。
プレゼンテーションは複数枚の「スライド」で構成されます。スライドには写真やチャートなどが記載されているのが一般的です。プレゼンターはそのスライドに関する内容を話します。
初歩的なところはスライドのチャートや画像などがメッセージとマッチしていないという点です。さらにテキストで書いていることと話していることがマッチしていないことが多いです。つまり、言いたいことがあるのにそれが表現されたスライドになっていないという課題があります。
これは自分のプレゼンテーションをビデオに撮影するとわかるのですがスライドの内容以上に多くのことを語っていることが多い。これは頭の中にあることが多くの情報量があるが表現するためのスキルが不足しているというものです。優秀な経営者であればあるほど頭にインプットされていることがアウトプットにでてこない。それはスライドの作成にかける時間が不足しているなどがあるためです。
話していることが本質的に伝えたいメッセージは何か?
さらに詳しく見ると話していることが「本質的に伝えたいメッセージは何か?」という点です。 僕は聞いていてわからない場合は素人の質問をよくします。 例えば「手数料は20%です」というメッセージの場合、この20%は高いのか安いのか、なぜ20%なのか?など疑問に思います。 実際に質問すると ○○と比べるとこれだけ良くて喜ばれるんですよ みたいな回答がある。実はこの回答が本質的に伝えたいことであり、そのようなスライドにする必要がある。
スライドに簡単に書いていることを具体的に詳しく聞くといろいろなことがわかります。経営者の頭の中には多くのインプットがあります。質問を通じじて経営者の本質的に伝えたいメッセージを引き出すことが重要になります。
ビジュアルの無駄を削ぎ落としてクリアなメッセージにする
「本質的に伝えたいこと」がわかると 伝える手段を考えればよいだけです。素材は十分に揃っているためあとは余分なものを削ぎ落とせばよい。 一枚のスライドできるだけ多くを詰め込みたいという気持ちがありものです。ページ数が増えてもシンプルな「絵」にすることが何よりも重要だと感じます。
経営者の方と議論すると「本質的に伝えたいこと」というを理解すると一般人にもわかるような表現やビジュアルを考えます。 農業を事例にすると500Haという面積を聞いてどれくらいの大きさをイメージできる人はほとんどいないと思います。通常は「東京ドーム何個分」みたいな表現をテレビなどでは使います。この翻訳が重要です。さらに500Haから生産される米ならば米の量はどのくらいか? 何トンという単位ですが米が何トンと言われてもわからない。お茶碗にすると何杯分みたいな表現がわかりやすいわけです。インフォグラフィックスの世界ですがお茶碗の数がビジュアルになっていたりするのがわかりやすい。 ビジネスの規模の大きさを一般の人のレベルでわかるようになれば誰でも あなたの会社を説明できるようになる。 その努力をしていない人が多いわけです。
ビジネスの可能性をわかりやすく伝えることが非常に重要です。
今まで利用していたスライドもバージョンアップしよう
一度スライドを作ると同じスライドを継続的に利用していることが多々があると思います。サービス概要のスライドは変わっていないなどです。実際の事例ですが1年くらい前の話を覚えている僕からすると現在のサービスの状況は格段に進化している。進化しない内容がまったく伝わないスライドになっている。これは気づかない機会損失なのです。
日々経営しているとちょっとずつ事業が進化しているため自分ではわかりにくいのですが、僕のようにたまにしか聞かない人からすると大きく進化していると感じる。他の人の子供を1年ぶりに見ると「大きくなったね」というのと同じことなのです。自分の子供は每日見ているので変わらないと感じるものです。
プレゼンテーションのスライドも定期的にメンテナンスをすることが重要だ。実際に日々のビジネスと関係しない僕と議論して役に立つのか?という点ですが4社ほど1時間ミーティングした結果、驚くほど効果があることがわかりました。
アート・クリエーターの佐藤可士和さんの本を読んでいるこのようなことを「問診」と言っていますが、ブランディングと同じことだと思いました。「質問家」のマツダミヒロさんとお会いしたときに言っていたのは「質問は同じだが答えは変わる」というものだ。1年前と今とでは同じ質問をしても答えは変わるのです。
こんなことを書いている僕のプレゼンテーションもおそらく他の人が聞いたらわかりにくいはず。お互い助けあってわかりやすくすることが大切。ICCのコンセプトは「共に創る」です。「スタートアップ・カタパルト」の登壇者と共に創る。それが大きな「森」を創る土台となる。「木」がしっかり成長するための大きな森を創るために主催者として真剣に取り組むことが大切だと感じております。