自分自身 ベンチャーキャピタリストとして成長する上で心がけていたことはいくつかあります。
まず、仕事を選ばずまずは何でもよいので経験をつむこと。2001年にエイパックス・グロービス・パートナーズに入社しましたが、当時27歳の若者で別にベンチャー企業の経験があるわけでもない状況ですから、まずはいろいろと経験する必要がありました。 仕事を選ばず、できる仕事をコツコツこなす。こなしていくうちにチャンスが生まれる。そしてそのチャンスを生かす(ようにがんばる)。 必死にやり続けることが重要だと思います。
グロービス・キャピタルの期待の星の今野さんはまさに上記のような感じで成長してきたと思います。 私が当時はメンターだったのですが、上記のように言ってきました。
とにかくがんばるというのは簡単にいえますが、いくつかハードルになることがあります。ひとつは①プライド ②人事評価 です。 プライドというは、たとえば、こんな仕事は俺の仕事じゃないみたいな考え方です。 俺は能力あるから、こういう仕事がしたい というもの。 プライドはベンチャーキャピタリストになる前のものであり、実際 ベンチャーキャピタリストの経験があるわけではありません。 素人です。 素人にプライドが必要なのでしょうか? 自己否定にはなりますが、マインドとしてリセットすることがなかなか難しい。 それが人間というものでしょう。
そして、2つ目は人事評価です。 これはものすごくがんばって、いろいろと仕事をしてきたが、結局 人事評価のときにそのことが評価されず、給料が上がらない といったこと。 これによって、わざわざやらなくてもよい仕事をしなくなる というものです。 これも自分自身への評価 と会社や周りの評価のギャップということで、プライドの問題と同じかもしれません。
私の場合は幸運にも、アーサー・D・リトルで3年ほどしか経験のない第二新卒の状況で入社しました。 周りは皆さんは経験豊富な方ばかりでしたので、プライドなんてありません。とにかく頑張るだけです。 人事評価に関して、特に給料に関しては文句もいわずに修行と思って頑張っていました。 運よく 3年でパートナーになりましたが、入社したときはそんなことはまったく考えておらず、 3年くらいたったらMBAでも留学できればよいなと思っていました。
目の前にチャンスがあると、MBAなどもともとあった考えはなくなり、ガムしゃらに頑張るだけです。 NILS の立ち上げも、たまたま参加できたわけだし、その活動によって、グリーへの投資など、私のベンチャーキャピタリストとして成長機会を得たわけです。
昨年 思い切って独立したのは会社が嫌だとかそんなことではなく、実現したいこと、そして成長したいことがあった。 独立し、新しい仲間とチャレンジするという選択をしましたが、この1年間はさまざまな経験をし、新しい挑戦をしています。
独立して、経営者としては”素人”になりました。 その前までは、サラリーマンのパートナーでしたが、経営に対してウンチクいっておりましたが、 過去に対して恥ずかしくなりました。
経営者から今まで以上に学ぶことが多くなりました。 独立すると、人事評価されることもなくなります。自分に対してどう評価するかは自分次第です。